筑摩書房はこのほど書店での文庫販売についてサンプル調査を行い、欠本チェックを定期的に行った場合は、前年比で1割程度売れ行きがアップするとの結果を確認したことから、定期的な主要店訪店によって働きかけを強めることにしている。
同社の文庫は定番として棚で動くアイテムが多いが、近年は書店の欠本補充がうまく機能していないという。主要書店の多くが自動発注を利用しているが、発注時点でたまたま品切れだったロングセラーがそのまま再発注されないなど、必ずしも効率的に運用されていないケースも多いためだ。
同社営業部がサンプル店で既刊文庫の総入れ替えを実施したところ、当月から既刊書の売れ行きが前年同月比50~60%伸び、その後、自動発注にしたところ半年間で売り上げは元に戻ったという。
さらに、新刊のうち棚に残すものと返品するものを、すべて同社が指定して棚を管理する実験を大手書店の複数の支店で行ったところ、既刊の売上冊数がA店では同7%増、B店では同19・7%増と大幅に伸びた。
同社文庫は毎月、ちくま文庫9~10点、学芸文庫5~6点の新刊が出ており、配本店数は2500店余、既刊の稼働店数はちくま文庫が約900点、学芸文庫が約550点。同社営業部「棚を増やすことよりも、いまある棚のポテンシャルをマックスにする必要がある」と考えており、今後、主要書店を定期的に訪問し、調査結果を基に欠本補充の大切さを働きかけていく。