くまざわ書店グループは2月6日、東京・港区のホテル虎ノ門パストラルで拡大店長会議と新春の会を開き、全国からの店長や本部スタッフ174人、出版社、トーハンなどから293人が参加した。熊沢健社長はあいさつ=下記=で、時代の厳しさを認識し、顧客から選ばれる店作りと効率経営を目指すとし、今秋に数店舗の大型店を出店するなど、新規店と増改築への投資を続ける考えを示した。
熊沢真専務が開会の辞=下記=として業績の報告と今期の方針を説明したのに続き、熊沢社長が「いま感じていること」と「今後の予想」を述べた。来賓としてあいさつに立ったトーハン・山?厚男社長は、桶川によって売れる商品を供給し、地域読者の集客を支援する取り組みを今年行うなどと書店支援策を報告。トーハン・風間賢一郎副社長が乾杯を行い、宴の半ばで熊沢宏常務が従業員の表彰を行った。
「今年度12~16店舗の新店と増床を予定」熊沢真専務
全国に186店舗を展開しているが、書店同士の競合とショッピングセンター間の競合が、去年は非常に激しかった。また、日本は人口が減っており高齢者の比率が高まる状況が進行している。ただ、当社の9月期決算は増収減益で同業が減収の中でまあまあ順調だった。減益といっても経常利益率は2%台を確保しており、自己資本比率も19・5%ほどと健全といえる。
しかし、既存店の売り上げはマイナス2・9%になった。これはかつてない悪さで、これをもって売り上げが減る時代になったと実感した。そんななかでも営業推進部を拡充し、ここが取り上げる商品は店頭で売れている。こういったことで既存店を強化したい。
新規店は12店舗オープンし、そのうち2店舗は大型のアカデミアだった。そのほかにも増床改装が4店舗、増床無しの改装が4店舗あり、常に新規投資している。今年度も12?16店舗の新店と増床を予定している。直近では宇都宮のFDK店を300坪に増床する。今年9月期の売上高は4%増の441億円を予定している。新店はこれからも10店以上出していく予定で、今年10月以降に大型店舗を複数予定している。
売場の環境は厳しいが、出版物の売り上げが来年ゼロになってしまうわけではなく、最大でも4?5%のダウンだと思う。これは他の業界に比べるとまだまだ穏やかであり、予測しやすい。それを織り込んで経営効率を維持して健全企業でグループ運営を続けて毎年10店舗ないしは15店舗の出店を続けていきたい。
新店はこれから売れる立地に対応し、商品を演出できる売り方で売り上げを作れる、ネットより魅力的な店舗を開発する。既存店もその成果を取り入れて変化に対応できる効率の良い店舗に変えていく。営業推進部もますます強化するので、協力をお願いしたい。
「新店は今年の秋でピークアウト」熊沢健社長
昨年のわが社の業績は大変立派だったと確信している。確かに既存店は厳しかったが、厳しい時代にあるということをわが社はきちんと認識していた。厳しい時代に既存店が5%プラスなどというのは単なる願望に過ぎず、願望に基づいて計画を立てたらおかしくなる。厳しい条件下で何をするのかを問われている。その点においてわが社の方針は正しく、それを実践したスタッフに感謝をしたい。
日本全体にほとんど空白地帯がなくなった。わが社の新店も競合他社が地盤を持っているところに割り込んでいく出店。そしてわが社の地盤に他社が割り込んでくる。割り込みと割り込まれの時代だと実感している。今年はいよいよ八王子にも割り込まれる。地元に割り込まれるのは心理的につらいが、これは仕方ないのであり乗り越えるしかない。あまりこだわって感情的になると自滅につながる。これはこれとして受け止めるしかない。
これからの見通しとしては、今年の秋に3~5店舗の大型店を出店したいと考えている。しかし、おそらく新店は今年の秋でピークアウトするだろう。全体が飽和状態にあるということと、立地法改正の駆け込み物件が今年の秋以降ほとんどなくなるだろうと思っている。
競争が激化する中で、競争力のある、お客様にとって魅力のある店舗を作っていくことが大切。投資に見合う売り上げを必ずしも期待できないかもしれないが、生き残るためには仕方がない。ある程度は投資をしていきたい。
一番期待しているのは、宇都宮店。当社の店舗も3店舗あり、他社店舗も団子状態で、どこがトップなのか分からない状況。増床して宇都宮でのナンバーワンを目指したい。
この1月になって大変厳しい。いろいろ原因はあるだろうが、長年商売をやってきてかつてない厳しさだと思っている。大切なのはお客様に選んで頂く店作り、合わせて効率的な経営をしてコスト管理をきちんとして生き残っていくことを目指したい。くまざわ書店グループは2月6日、東京・港区のホテル虎ノ門パストラルで拡大店長会議と新春の会を開き、全国からの店長や本部スタッフ174人、出版社、トーハンなどから293人が参加した。熊沢健社長はあいさつ=下記=で、時代の厳しさを認識し、顧客から選ばれる店作りと効率経営を目指すとし、今秋に数店舗の大型店を出店するなど、新規店と増改築への投資を続ける考えを示した。