日本書籍出版協会は3月11日、東京・新宿区の日本出版会館で07年度第2回通常総会を開き、08年度事業計画・予算案を承認した。また、出版者著作権協議会を4月に法人化し、日本著作出版権管理システム(JCLS)と業務統合を進めることが報告された。
総会には会員477社のうち66人が出席、232人が委任状を出した。小峰紀雄理事長は読書環境整備の重要性を訴えるとともに、5月に開かれるIPAソウル大会への参加、来春のソウルブックフェア日本年に向けた特別委員会の設置、言論・出版の自由を守るためのアピール活動などに言及。また、会館老朽化に伴う共同ビル構想について「しっかりと議論して取り組む必要がある」と述べた。
出著協の法人化について説明に立った金原優副理事長は、日本複写権センターでの使用料規程改定は、一律2円の複写使用料が馴染まない出版業界が率先して進めるべきだとし、そのために出著協とJCLSの権利処理業務を一本化すると説明。
4月に有限責任中間法人として新出著協を設立する予定で、書協は基本金300万円のうち117万円と、運営資金120万円の計237万円を拠出することを報告した。
事業計画では6つの重点事業と6つの経常事業を承認。会館問題は「『出版共同ビル構想』の具体化について財政面を含めて検討する」とし、文字・活字文化推進会議の事業推進、出版者の権利獲得、再販制度弾力運用への取り組み、財政健全化、50周年事業として着手した「データベース日本出版史」の構築に取り組むことなどを盛り込んだ
収支予算は一般会計が収入3億6600万円、支出が3億7957万円で1357万円のマイナス、特別会計は収入3248万円、支出4942万円で1694万円のマイナスとし、特別事業積立から3100万円余を繰り入れる。
また、文字・活字文化推進機構への拠出金600万円は東京国際ブックフェアの開催権譲渡留保分から、新出著協への拠出金は複写使用料留保分から出すことも報告された。
予算委員会・志村幸雄委員長は「繰入で帳尻を合わせているが、赤字体質を脱却するために具体的な施策を考えていかなければならない」と指摘。
また、質疑で説明に立った山下正専務理事は、01年に経営委員会がまとめた7項目の答申に基づく財政再建が進んでいるとし、「本部会計と会館会計はほぼ収支が見合うようになり、お金がかかってきたデータベースもJPOからの受託料など一定の収入が入るようになった。もう少し改善すればとんとんにできると考えている」と説明。
さらに会館問題について「現在の会館は建設から40年を経て、診断の結果、維持するためにも相当の費用がかかることが判明し、維持や建て替えなど書協が建物を持って経営していくのは難しいという考え方で進めている。そこで別の建物に入居して土地の活用で得た資金を賃貸料に充てようと検討している」と報告した。