米国の女性向けネットメディア「Glam Media」を運営するGlam Media Inc.(グラムメディアインク)の日本法人グラムメディア・ジャパンは、昨年11月25日から女性向けサイトに広告配信を行うADネットワークサービスを開始したが、山村幸広代表取締役CEOは「反響もあり、広告主の注目も高く、思った以上に良いスタート」と話している。
■米国一の女性向け広告メディアサイト
米国のグラムメディアは06年に設立された企業で、同社が運営するGlam Mediaは米国で5200万人、世界で7500万人のユニークユーザー(UU=サイト内の特定ページを訪れた人数)が訪れる米国ナンバー・ワンの女性向け広告メディアサイト。
インターネット調査会社コムスコアが展開するコムスコア・メディアメトリックスの08年9月調査では、米国のユニークビジターランキングでトップテンにランクインした実績がある。
グラムメディア・ジャパンは、その100%子会社として昨年6月に設立された。
代表取締役CEOにはトランスコスモスの営業副本部長、米国法人取締役を経て、日本ダブルクリックの代表取締役社長。その後、エキサイト日本法人代表取締役社長を歴任した山村幸広氏(44歳)が就任。
昨年12月には、小学館、日経BP社からそれぞれ2%の資本参加を受け、オンラインメディア広告事業での提携を行っている。資本金は1億4300万円。
■アドネッワーククオリティを重視
グラムメディア・ジャパンが展開しているサービスは大きく二つある。
一つは、F1層(20~35歳女性)にリーチする出版社などのサイトの広告枠を同社が預かり、専任スタッフが広告主に販売して各サイトに配信し掲出するアドネットワークサービス。
取り扱うバナー広告は、スパーバナー(728×90px)、ラージレクタングル(300×250px)、Wスカイクレーパー(160×600px)の3種類。 広告料金はページの表示1000回ごとに課金するCPM(Cost Per Mill)保証を採用している。
現在は30のサイト及び質の高い情報を発信する女性のグラムブロガーが参加しているが、サイトのうち出版社は、小学館(8サイト)、光文社(1サイト)、主婦の友社(1サイト)、日経BP社(3サイト)、ベネッセコーポレーション(1サイト)、主婦と生活社(1サイト)の女性誌などのサイトが参加しており、2月には集英社、3月には講談社が参加する。
今後も広告主のブランドを損なわないクオリティの高いサイトを増やしていく考えで、今年末には150サイト程度を見込んでいる。
広告主は、ファッション、コスメ、飲料、運輸など10社程度。ブランド広告を取り扱い、通信販売に代表されるダイレクトレスポンス広告は扱わないなど、クオリティを重視する。
「今後は常時30~40社程度から出向してもらい、ベースとしてお付き合いする広告主は100社程度と考えている」(山村CEO)という。
■インプレッション効率的に増加促進
もうひとつのサービスは各サイトのインプレッション(広告の露出回数)の増加。F1層ネットユーザーに対し、同社のサイトに▽ファッション▽ビューティー▽ジュエリー&ウォッチのカテゴリーを設けてコンテンツを提供することで、F1層の利用者を集客し、参加サイトに誘導する。
同社のサイトはネットワークのハブサイトの役割を担い、各ネットワークサイトのコンテンツと連動するが、各サイトのコンテンツに直接リンクする「ウィジェット」を配置するなどの仕組みとノウハウで、インプレッションを促進する。
コンテンツのカテゴリーは今後拡大する予定で、現在のインプレッションは月次4000万だが、これらの取り組みで今後は同2億を目標に置いている。
■雑誌とネットなどパッケージで展開
また、雑誌のタイアップ広告やクリエイティブをネットに展開することで、雑誌とネットを一つのパッケージとして広告主に販売するクロスメディア広告も展開しており、今後は細かく広告主のニーズに対応できる型も作っていくという。
■携帯電話3キャリアへも
さらに、より若い層にリーチしていくために、今夏に向け携帯電話3キャリアへの対応も進めているという。
サービススタートから約2カ月。スタート時に掲げた目標10億円の広告収入について「近いところにいけるのでは」とする山村CEOは、「この機会を5年10年かけて育てていければ、雑誌でも広告の収益が減った部分をネットでプラスにできる。その役割の一端を担う僕らの仕事は、皆さんにとって価値があると認識していただけるはず」と話している。