丸善、ジュンク堂、DNPが提携協議 経営統合も視野に入れて検討

2009年3月24日

 丸善は3月24日、第200期(08・2・1?09・1・31)の決算を発表したが、合わせて同日、ジュンク堂書店、大日本印刷(DNP)との3社業務提携にむけた協議を開始することで合意したことを発表した。これに伴い8月3日に予定していた図書館流通センター(TRC)との経営統合を延期し、ジュンク堂書店を含めた経営統合を視野に入れて検討を行う。

 3社業務提携は、先にジュンク堂がDNPの出資を受けて子会社となったことで、3社の取締役などを構成委員とする「提携協議会」を設置して、8月末までに提携内容をまとめる。

 提携協議の範囲と領域は、店舗事業では▽店舗部門強化のための戦略構築▽相互人材交流および共同研修等を通じた店舗運営ノウハウの共有・向上・洗練化▽洋書、文具および専門書等の商品調達力における相互の強さ及びスケールメリットを活かした商品展開力の強化▽ITを活用した注文品の相互融通および全国対応によるサービス向上。

 教育・学術事業では▽外商部門強化のための戦略構築▽相互の店舗在庫活用による外商顧客への納期短縮実現▽特定顧客による来店選定システムの共同化による顧客利便性の向上―に設定。さらに、協議では資本提携、経営統合、役職員の派遣による人事交流などについても検討するとしている。

 TRCとの経営統合延期は、昨年12月16日に発表していた8月3日の株式移転による統合という予定を、09年内を目途とすることに変更する。これは、3社業務提携の協議の中で「丸善とジュンク堂との提携協議の進捗を見極めつつ本経営統合を進めることが最適と判断」したとしており、丸善・小城武彦社長は「ジュンク堂という大きなプレイヤーが加わったため、まずその協議を進める方が良いと判断したのであって、TRCとの提携協議は進んでいる」とし、両社の関係に変化がないことを強調した。

 決算は減収減益に

 丸善の連結業績は売上高は前期に大学向け大型案件があったことと、書店の出店が減少して店舗内装事業が18億円減少したことなどで969億円、前期比5・5%減、営業利益は2億3700万円、同21・6%減、経常利益は円高による為替差益が発生し4億7800万円、同7・4%増、当期利益は店舗閉鎖などの減損損失を7億円計上したことで4億4200万円の赤字となった。

 教育・学術事業セグメントは大学向け設備工事が36億円などがあり520億8700万円、同6・6%減、店舗事業は和書販売は新規店がない中で1・2%増と検討したが、不況の影響で高級文具が1・7%減と低迷し、370億4600万円、同1・0%減になった。

 出版事業は新刊の確実な刊行と返品減少を達成し26億4000万円、同7・1%増。店舗内装事業は主要顧客の書店チェーンやFC本部の出店が減速し51億3100万円、同25・6%減。