オンライン出版物の納本は契約で BSS、国会図書館・田中室長を講師に勉強会開催

2009年12月1日

 ブックストラテジーサービス(BSS)は11月24日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で「国立国会図書館における書籍・雑誌のデジタル化の取組」と題して国立国会図書館 総務部企画課電子情報企画室・田中久徳室長を講師に第9回勉強会を開催した。

 はじめにBSS・豊田社長が「出版界は厳しい環境にありながら、デジタル的に活動しているところがある。時代の欲求はやむを得ないことだが、そういう方向性に来年はもっと進んでいくのではないか」と見通しを示した。

 田中室長は国会図書館のデジタル化事業について「出版社の業務に悪影響があるのではという懸念や心配を持たれているが、私たちは民間の出版サービスを支えるつもりでやっている。そういった点で懸念を持たれることのないように慎重に進めている」と話し、講演に入った。

 国立国会図書館におけるデジタル化の全体的な取り組みについて、インターネット情報のアーカイブ、所蔵資料のデジタル化、検索・探し方のツールを提供、国全体のデジタル検索の窓口と概要を説明した。

 また、アメリカの議会図書館、EUの欧州デジタルプロジェクト、中国の国家デジタル図書館、韓国国立中央図書館の国立デジタル図書館など、各国のデジタル図書館の取り組みを紹介した。

 今後の課題として、現在の納本制度が及ばないオンライン出版物を収集するための「電子納本」について検討を始めたとしている。その中で、版下データでの納本も考えられるとし、統一フォーマット、費用について議論していきたいと話した。また、法律を改正して納本してもらうのではなく、合意の上で契約を結び、将来のために蓄積していきたいと述べた。

 講演後には、ブックシステムサービスが手がけた「旬報社デジタルライブラリー」の事例紹介が行われた。

 次回は、1月下旬にシュプリンガー・ジャパン・深田良治社長を講師に招く。

 問い合わせはブックストラテジーサービス、電話03(5213)5475