書協、雑協が東京都青少協に意見書 児童ポルノ規制強化に反対

2009年12月16日

 日本書籍出版協会、日本雑誌協会は12月10日、第28期東京都青少年問題協議会答申素案「メディア社会が広がる中での青少年の健全育成について」に対して、児童ポルノ規制強化に反対する意見書を提出した。

 答申案の第2章「児童を性の対象として取り扱うメディアについて」を中心に、規制強化に反対する立場から以下の意見を述べている。

 児童ポルノに該当しない写真や実在しない児童を描いた漫画等を含めて規制強化を論じているのは、表現の自由を著しく損ねる恐れがある。

 「ジュニアアイドル誌」「ラブ・コミック」との記述は、出版界にジャンルが存在せず、都にも定義がなく、レーティングの対象とするのは問題。

 都が「国に対し、児童ポルノの『単純所持』の処罰化を強く要望すべき」とあるのは、官による恣意的な運用の危惧、別件捜査・逮捕、冤罪が起こることへの疑念、児童ポルノの定義があいまいなままでの単純所持の新設は、過去入手した出版物等を廃棄する義務が生じ焚書そのもの、などの理由から出版界として賛成できない。

 「児童を性の対象とする漫画等のうち、著しく悪質なものを追放の対象とする」とあるが、現在も条例の指定基準に基づき「不健全図書」の指定対象となっており、新たに追加の必要はない。

 また、第3章「青少年の健全な育成を取り巻く環境整備について」では、?公表措置は、現在でも「不健全図書類」への指定で実施されている。「包括指定」は、第23期青少年問題協議会でも検討され、導入は見送られ「表示図書類」の努力義務が定められた、としている。

 同協議会は12月15日に専門部会を開催し、10日まで募集していた意見の結果を審議して答申案をまとめ、1月の同協議会で知事に答申する予定。