朝日新聞社は、子どもたちに原爆のことを考えてもらうための教育特集「知る 原爆」をつくり、9月末から希望校に無料で届けている。「知る 原爆」は、新聞サイズで8ページフルカラー。被爆67年を迎え、子どもたちにどうやって語り継いでいくのか、という問題意識からスタートした企画だ。 8月6日に広島県内の朝日新聞に折り込んだ別刷り特集「よむ 8月6日」(4ページ)を元に、朝日新聞と朝日小学生新聞に掲載された原爆関係の記事を再編集したり、子ども向けQ&Aを新たにまとめたりして構成した。すべての漢字に送り仮名をふり、小学校低学年から大人まで幅広く読める工夫をしている。 フロント面には、原爆が日常に落とした影を描いた、こうの史代さんの漫画「夕凪の街 桜の国」を大胆にあしらい、こうのさんのメッセージを掲載した。2ページ目は「はだしのゲン」の中沢啓治さんのインタビューと、小学5年生の感想文。3ページ目は「幼児」「小学1~3年生」「小学4~6年生」「中学生以上」に分けて、原爆のことを知る計25冊の本を紹介している。 4ページ目は、被爆者4人のエピソードをつづった「モノはかたる」と、朝日小学生新聞が8月6日に掲載した小学5年生による被爆者インタビュー。5ページ目は音楽家の坂本龍一さんら3人が核について語った「伝えたいこと」。坂本さんのインタビューには英訳もつけた。 6、7ページは、朝日新聞に寄せられた1万人以上の証言をもとにあの日を再現した「8月6日 広島」「8月9日 長崎」。最終面では広島、長崎に今も残る原爆の跡を写真で紹介している。 希望校は9月6日の朝刊(大阪本社版)で募集を開始。主に近畿・中国、四国、北陸の小中高校を中心に、約1カ月で10万部を超す応募があった。大学や研究機関、読み聞かせ活動をしている個人や団体などからの応募も多かった。 応募に際しては、「修学旅行前に生徒に読ませたい」「戦争のことを、試験のために暗記する歴史としてではなく、子どもたちに受け止めてほしい」「この取り組みを来年以降もぜひ続けて」といった声が寄せられた。