日本新聞協会広告委員会と日本アドバタイザーズ協会は、10月25日、「新聞広告の“いまとこれから”を考える」をテーマにしたセミナーを共催した。その中で、アド協の新聞委員長を務めるパナソニック・上川内利博アドメディアセンター所長が、冒頭で「新聞広告に関するアンケート」結果を説明。その中では電子版や広告料金に具体的要望が出された。
「新聞広告に関するアンケート」は、12年5月から6月にかけて会員社を対象に実施。269社に送り、90社が回答した。前回調査は09年に実施(66社が回答)している。
それによると、新聞広告費が「かなり増えた」と答えたのは6社。「少し増えた」が19社、「ほぼ横ばい」が38社、「少し減った」が12社、「かなり減った」が15社だった。「増加」と答えた社は前回の6・1%から27・8%に増加。一方、「減少した」は68・2%から30・0%に減っている。
新聞広告を増加した理由は、「社会的信頼性が高い」(12社)が最も多く、「自社の商品に新聞が合っている」(9社)、「ターゲットに効率よくリーチできる」(6社)と続く。逆に、減少の理由は「広告費全体を減らしている」(17社)が最も多く、「費用対効果がわかりにくい」(7社)、「ターゲットに効率よくリーチできない」(6社)など。「新聞広告の重要性が減ってきた」も5社が答えた。
新聞以外で出稿が増えている媒体は、「ウェブ」(47社)▽「ソーシャルメディア」(35社)▽「交通・屋外」(18社)▽「モバイル」(16社)──。「雑誌」(6社)、「折込チラシ」(4社)、「テレビ」(3社)との回答はそれぞれ少ない。
「新聞広告で使い勝手の悪い部分や困っていること」の問いには、「若年層を中心に購読者が減少している」(48社)、「広告料金が高い」(31社)、「他メディアと横並び比較できる広告効果データが少ない」(30社)と回答。「新しい企画提案がない」「広告原稿サイズが各社で微妙に違う」「掲載面が直前まで決まらない」のほか、「正確な配達部数が分からない」も10社が答えた。
具体的には、広告料金について「発行部数が減少しているなら、広告料金の見直しを」「出稿段数に関わらず、広告料金が広告主によって変わる不明瞭さがあるのでは」と指摘。データについては、「J―MONITORへの参加新聞社の増加や調査エリアの拡大」などを要望している。
また、新聞各社が進める電子版については、「新聞の強みの30段といった大スペースが確保できない」「広告主は、本紙の読者と電子版の読者は全く別ものと考えている」という意見、「電子版のユーザー層の属性やプロフィール等の開示」を求める声、「現段階では本紙の補完媒体。本紙をどうしようとしているのか教えてほしい」という意見もあった。「若年層へのリーチ拡大やターゲットを明確にした広告展開」「紙との連動企画などを提案してほしい」との期待もある。
新聞本紙には、「各紙の優位性を競うのでなく、各社共通の新聞の良さや他メディアとの融合性などを訴求していく必要がある」などが寄せられた。新聞広告も「今までにない新しいスペース、企画等の提案を」「広告枠の柔軟なメニューがほしい」「広告の審査基準を明確にしてほしい」などが寄せられた。