国民生活センターは8月22日、新聞の訪問販売をめぐるトラブルが後を絶たず、特に高齢者の長期契約に関連したトラブルも多いとして、この10年間の新聞の訪問販売に関する相談件数の推移や、具体的にあったトラブルの事例、それらに伴う日本新聞協会などに対する要望を発表した。
同センターによると、新聞の訪問販売に関する消費者からの相談件数は、この10 年間、毎年1万件前後寄せられている。最近でも2009年に1万427件、10年に1万787件、11年に1万696件となっている。相談件数のうち、60歳以上の契約者からの相談数も年々増加。10年以降、その数は半数以上を占めている。
新聞のトラブルの相談内容は「契約・解約」に関するものが多く、販売方法についての相談は「販売の時に強引だった」が最も多い。近年は「長期契約」や、加齢などの影響で判断能力が不十分な契約者による「判断不十分者契約」のほか、景品をつけて販売方法に問題のある勧誘を行っている「景品付き販売」に関する相談の割合も増加しているという。
相談件数を地区別にみると、南関東(首都圏南側)、近畿、九州北部の順で多い。山陰地方や四国からの相談は少なく、北海道・東北北部や東北南部もそれほど多くないという。また、「長期契約」「景品付き販売」の相談件数でみると、近畿地区からの相談が最も多いとしている。
さらに、今回の発表では、高齢の契約者から長期間の契約に関わる苦情が多数寄せられており、その具体例も列挙された。例えば、「新聞を契約している人が購読期間中に入院などの理由で新聞の解約を申し出たところ、中途解約を認めず、高額な解約料や景品代を請求する」など。
また、高齢者に関わるトラブルを中心に、契約時にいわゆる「6・8ルール」を超える景品が提供され、契約者が解約を申し入れると、景品を買って返すように求められたというトラブルも。このほか、新聞販売員による強引な勧誘や、うその説明を聞いて契約してしまったというトラブルが後を絶たないという。
同センターではこれらを踏まえ、高齢者トラブルの未然防止、拡大防止を呼びかけるとともに、新聞業界に対応を求めることにした。
新聞協会などに出された要望は次の通り。
〈新聞公正取引協議会に対して〉
?販売店に対し公正競争規約の順守を徹底し、消費生活センター、国民生活センターからの端緒情報を積極的に活用するなどして、規約にのっとって違反措置等を行うこと。また、規約の内容を消費者へ周知すること
〈日本新聞協会に対して〉
?「新聞の訪問販売に関する自主規制規約」を会員である新聞社を通じて系統販売店に周知し、順守を徹底すること
?高齢者の契約や長期契約、先付け契約に関して、一定の基準を作成すること。その上で、基準の範囲内で契約が行われるよう、また、基準を超える契約については契約者が解約を望んだ際にすみやかに解約ができるよう、ルールを作成し、会員を通じて系統販売店に対して周知、徹底すること。また、基準やルールの内容を消費者へ周知すること
??の基準内の場合であっても、販売店が解約に応じるべき場合(契約者の入院、死亡、失業、介護などの家庭の事情、加齢にともなう視力の衰えなど)について整理し、会員を通じて系統販売店に周知、徹底すること。また、整理した内容を消費者へ周知すること