4月14日夜と16日未明の2回、震度7の揺れが襲った熊本地震では、避難者が一時10万人を超えるなど被害が広範囲に及ぶなか、読売新聞社は、被災地のYC(読売新聞販売店)を支援し、編集、制作、輸送の各部門で特別態勢をとって新聞発行を継続、災害時に重要性を増す正確な情報を届けた。 支局や印刷工場は被害をほとんど受けず、新聞制作に大きな支障はなかったが、熊本県内を中心にYCの建物が損壊するなどした。また、九州自動車道が不通になるなど交通網が寸断されたため、工程時間を大幅に繰り上げるなどしてYCへの新聞到着の遅れを最小限に抑えた。 工程時間の繰上げが続いた鹿児島市内などでは、1週間のプロ野球結果をひと目で見られるタブロイド版の「週刊スポーツ特別臨時号」を発行した。 YCへの支援では、東京本社が埼玉県に備蓄しているYC用救援物資の非常食4000食、ペットボトル水1600本、下着480着など生活必需品を被災地に送ったほか、大阪本社も食料などを提供した。 西部本社に勤務した経験がある東京本社の販売局部長が被災地のYCを訪問したり、グループ企業に出向している一級建築士の社員がYCの建物の安全性を診断したりしてグループを挙げて支援した。編集では東京、大阪両本社は取材記者だけでなく、局次長ら幹部も長期間派遣した。 西部本社やYCは、益城町の避難所などに本紙を届けているほか、現地に派遣した広報車で印刷する特別号外を1か月間発行し続け、避難所などに配布した。 ヨミウリ・オンライン(YOL)では、避難している読者のため、西部本社発行の一面、社会面、熊本県版などを17日付から公開。22日付からは、読売プレミアムの紙面ビューアーを被災地の読者向けに無料公開し、一覧性に優れた紙面をスマートフォンなどで読めるようにした。 被災地支援ではこのほか、テントメーカーや家具販売企業と協力して被災地にテントハウス10棟を設置し、車中泊を強いられている住民らが交代で利用するなどした。