文化通信社は2月27日、東京・千代田区の文化産業信用組合会議室で第5回文化通信フォーラム「中国に広がる日本の絵本―13年目迎えるポプラ社の中国事業」を開催し、ポプラ社現地法人・北京蒲蒲蘭文化発展有限公司董事・総経理(COO)の石川郁子氏が成長著しい中国での絵本出版について話した。 ポプラ社は2004年に中国現地法人を設立し、外資としては極めて早い時期に出版物の小売・卸販売資格を取得。 中国に「絵本」という言葉すらなかった時期に絵本専門店舗「蒲蒲蘭絵本館」を開設し、この10年余で数千店の「絵本館」が出現するなど絵本の普及とブランディングを成功させた。 絵本の出版活動も、当初はまったく市場がない状況だったが、2000年代中盤からのネット書店の台頭で急速に市場が拡大。同社の売り上げも16年には1億元(約17億円)を突破するまでに拡大している。 石川氏は創業時のエピソードや、絵本を普及させるためのプロモーション活動などを詳細に報告。中国の国営出版社があまり力を入れてこなかった書店や地域卸への営業に注力し、85人の社員のうち半数近くを営業担当者が占め、「市場部」というプロモーションを専門にする部署も設けた同社の体制も説明した。 また、輸入よりも自国出版物や輸出に力を入れるという中国政府の方針が示されていることに触れ、同社でも中国オリジナルの絵本作家を育成していると説明。 日中での国際共同出版や、日本の出版社と連携した中国での出版活動などに力を入れていく考えを示し、今後も成長が期待できる中国の出版市場で、巨大な国営出版社、台湾系など巨大資本と伍していくためには、日本出版社の連携が必要だと強調した。 中国視察ツアー開催へ なお、文化通信社はポプラ社の協力で6月4~7日、中国・北京市で海外視察ツアー「中国出版・書店視察―日本の絵本が急拡大する市場」を開催します。詳しくは文化通信社ホームページ(https://www.bunkanews.jp/event/)、もしくは電話でお問い合わせください。フリーダイヤル0120―191931(ベストワールド)。