東洋大学(東京・文京区)は4月から、社会学部メディアコミュニケーション学科で、読売新聞社、朝日新聞社とタイアップした教育プログラム「新聞活用プロジェクト」を始めた。同学科の1年生全員(157人)の自宅に1年間、朝日新聞または読売新聞を教材として配達し、授業で活用する。新聞購読料は大学が全額補助する。4月24日には白山キャンパスで初めての授業が行われ、両新聞社の社員が講師に招かれ、「新聞の読み方」を指導したり、グループワーク「まわし読み新聞」を実施した。 同プロジェクトでは、大学入学当初の段階から新聞を教材にして、新聞を読むこと、ニュースに触れることを習慣化させることからスタート。自ら積極的に情報に接することで、主体的に取捨選択し、自らの思考につなげるメディアリテラシーを身につけ、大学教育の目標の一つ教養力の養成を目指す。 具体的には、同学科の1年生全員が1年間、読売と朝日の2紙を自宅で購読。授業では学生が新聞を読んでいることを前提に、必修授業の「基礎演習」「情報学基礎論」「メディアコミュニケーション学基礎論」で、新聞を活用した授業を展開する。 新聞は半数の学生に朝日、もう半数に読売を配達。前期と後期で新聞を入れ替え、2紙の比較などができる仕組みにしている。今後、ゼミで両新聞社の記者や社員を講師として招き、講義を受ける。また、各種講演会の開催、両社でのインターンシップの実施なども予定されている。 1年生全員を対象にした初回の授業は、2紙が共同で「新聞の活用法」を実施。担当の社会学部・薬師寺克行教授の説明のあと、朝日新聞教育総合本部の鹿島啓司ディレクターが「新聞の紙面構成、新聞が完成するまで」を講義。両紙に掲載されている特色ある紙面を紹介したり、新聞記事がどう書かれ、どう読むのがいいかを改めて教えた。 続いて、読売新聞東京本社教育ネットワーク事務局の岩本洋二専門委員の指導のもと、学生たちは5~6人のグループに分かれ「まわし読み新聞」を経験した。各自が2本ずつ新聞から面白いと思った「イチオシニュース」を持ち寄り、それを3~4本に絞り込み、方眼紙に貼りつけ短いコメントを添え、「私たちの新聞」を完成させた。