板垣勝弘所長が店を構える日高町富川地区は震源地に近く、今回の地震で震度6弱を観測した。幹線道路沿いに建てられた富川販売所は、地元の材木店がオーナーの賃貸物件だったが、倒壊の恐れがあったため同販売所は近隣の元薬局店舗に緊急移転した。 そのような状況下ではあったが、板垣販売所では、6日夕刊、7日朝刊と通常通り北海道新聞を配達。店着は少し遅れたが、「慌てず、無理せず」を配達員に指示し、信号機や街灯もほとんど点灯していないなか、いつもより時間をかけて新聞を届けたという。 「有難いことでもあるが、ベテランの配達員さんほど責任感が強いので無理してしまう。支店のむかわ穂別店は、土砂崩れしている地域もあり安全第一を指示。けが人が出なかったことが何より」と板垣所長は話す。 電力復旧したのは7日夕方だったため、7~8日の朝刊のチラシ折込はマンパワーに頼らざるを得なかったという。 引っ越し作業は、11日に完了。なんとか、最大の危機は脱したが次なる課題がライフラインの確保だ。 旧店舗も移転店舗も幸い断水はしていなかったが、板垣所長の自宅はいまだ断水状態。11日現在で水道復旧は15日前後の予定だが、それも不透明だという。 現地取材した8日は、まさに引っ越し作業の真っただ中。こんな時だからこそ、力のつくものを食したいところだが、それもままならない状況となっていた。近隣のコンビニは商品が流通していないため一部閉店状態で、スーパーも品薄だという。 板垣所長のもとには、道新販売センター勤務時代にともに汗をかいた所長から、安否確認やお見舞いの電話が届いている。今は、それが何よりの励みになるのかもしれない。