出版科学研究所によると2018年1~12月の出版市場は電子と紙をあわせると前年比3・2%減、紙の書籍・雑誌では同5・7%減となった。紙市場の厳しさが続いているが、書籍は年内のミリオンセラーがなく、雑誌は各分野とも厳しい中で、コミックスが年後半持ち直した。また、書籍、雑誌ともに平均価格が上昇している。 書籍はミリオンなし 書籍は販売額が同2・3%減の6991億円。販売部数は同3・4%減の5億7129万冊。金額返品率は36・3%、同0・4ポイント減。児童書やビジネス書は前年並みと健闘したが、文芸、生活実用、学参、文庫、新書などがマイナスになった。 出回り平均価格は1164円、同1・0%増と4年連続で上昇した。新刊点数は7万1661点、同1・9%減。このうち取次窓口経由が5万859点、同1・3%減。取次窓口経由は6年連続で減少しており、新刊点数の増加は止まったとみられる。 売れ行き良好書は『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)、『大家さんと僕』(新潮社)、『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)、『ゼロトレ』(サンマーク出版)などだったが、年内にミリオンを記録した書籍はなかった。 雑誌は創刊数過去最少に 雑誌の販売額は5930億円、同9・4%減。このうち月刊誌が4844億円、同9・3%減、週刊誌は1086億円、同10・1%減。販売部数は月刊誌が7億5598万冊、同11・1%減、週刊誌が3億434万冊、同11・4%減の計10億6032万冊、同11・2%減。 返品率は43・7%、同同率。月刊誌は44・3%、同0・3ポイント減、週刊誌は41・2%、同1・9ポイント増。平均価格は574円、同1・4%増。 不定期氏の新刊点数は、別冊・増刊が3316点、同4・7%(162点)減、ムックが7921点、同7・4%(633点)減、付録付き雑誌は1万1228点で前年より972点減少した。 創復刊点数は前年より9点少ない60点と、過去最少になった。また、ほぼ半数が分冊百科とパズル誌だった。一方、休刊点数は同22点多い129点。中でもコミック誌の休刊が目につき、電子版に移行するものも多かった。 電子は雑誌がマイナス 電子出版は2479億円、同11・9%増。このうち電子コミックが1965億円、同14・8%増、電子書籍(文字もの)が321億円、同10・7%増、電子雑誌が193億円、同9・98%減だった。 電子コミックは伸び率が鈍化していたが、昨年春の大手海賊版サイトの閉鎖などによって回復。電子書籍はライトノベル系の作品や、紙の書籍が売れたビジネス書や実用書、写真集が売れた。電子雑誌はNTTドコモの「dマガジン」の会員数減少で大幅なマイナスになった。 電子出版の占有率は、コミックが79・3%、書籍が12・9%、雑誌が7・8%。全出版市場に占める紙媒体の比率は83・9%、電子が16・1%になった。