岩波書店は8月7日、7月19日に発売した大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』が発売から20日を待たず5刷が1万部決定し、累計発行部数は3万5000部となる。
同書は1941年~45に書けて繰り広げられた「独ソ戦」について、ソ連崩壊後にようやく公開された史料により、独ソ戦研究が飛躍的に進歩しているなか、その研究の現状を紹介するとともに、同戦争の概要をコンパクトに知るための基本書となるもの。
そのうえで、戦史・軍事史面からだけでなく、政治・外交・経済・イデオロギーの観点も取り入れることで、日本では主流であったパウル・かれるの独ソ戦観を覆し、人類史上最大の戦争の本質を描いている。
同書の売れ行きが好調な要因について同社営業部では、「大木氏のファンや独ソ戦への関心を持つミリタリーファン層に加え、同書では軍事面だけでなく、政治・外交・経済・イデオロギーの観点を踏まえて、『世界観戦争』として独ソ戦の全貌を描いたことが、結果的に日本での独ソ戦の通説を覆す内容となった。この点が評価されているようだ」と話している。
□文庫判/256㌻/本体860円