池田書店が6月上旬に刊行した江田証『新しい腸の教科書 健康なカラダは、すべて腸から始まる』は、現在6刷4万3000部と堅調に推移している。三省堂書店神保町本店では、発売から数カ月を経た10月上旬でも、同店の一等地にあたる1階レジ前の注力書籍を展開する平台で多面置きするなど、ポテンシャルの高い商材として展開中だ。
実用書の週間ランキング1位
同書店・副田陸児本店長は「各店舗でPOSが上がっているという情報を聞き、多めに追加発注をかけ、1階レジ前で展開した。結果、趣味・生活ジャンルで週間ランキング1位にもなり、今でも粘り強く、実用書の売れ筋商品として一等地で展開できている」と話す。
一方、同店のような大型書店のみならず、ターミナル、商業ビル、インショップなどの店舗でも、立地を問うことなく好評だという。他チェーンでの消化率も上々で、70%の消化率、なかには入荷に対し90%近くの実売をあげている店舗もあり、今でも継続的に展開する書店も少なくない。
堅調に推移している背景として、全国紙や地方紙などの新聞広告など、宣伝効果による反響は大きいという。一方で同出版社営業部の野口英之部長は、美容書を始めとした女性向けの「腸」に関する書籍が多い中で、権威ある胃腸専門医の著者を立て、健康書に特化したことが好調な理由だと分析する。「人生100年時代と言われる中で、日本人の健康への関心はますます高くなっている。その中で腸が大切な機能を果たすということは一般的にはあまり知られていない。またそれに類する本も少なく、ブームの中で消費される健康本としてではなく、『腸』による健康書の決定版として打ち出したことが奏功した」と話す。
表紙をリアルな「腸」にした意図
表紙カバーも美容書などに散見される抽象化したデザインとは一線を画し、あえてリアルな腸のイラストを載せるといった挑戦的なデザインを施したのも、健康書としての信頼性や格式の高さをアピールするための戦略だ。
カバーデザインだけではなく、イラストや図解を豊富に、誰にでもわかるよう、易しく解説する構成など、実用性に富んだ工夫を凝らしながらも、最新の腸医学における情報も提供しており、手軽さの一方で、情報の鮮度と学術的に担保されている点も同書が好評を博す理由だろう。
副田本店長は「当店は中高年齢層が主たる顧客で、健康書も数多く見られている。健康書において、目の肥えている顧客の中で、当書籍のコンセプトとニーズがマッチしているのでは」と推測する。
同出版社では、パネル付きでフェア台や話題書のコーナーでの仕掛けを推奨しており、今後も販売促進に注力する意向だ。□A5判/160㌻/本体1400円