暮しの手帖社は10月19日、東京・世田谷区の二子玉川蔦屋家電で、瀬尾幸子『素材がわかる料理帖』発売記念トークショーを開催し、同書の読者や瀬尾氏のレシピファンなど70人を超える参加者が集まった。
トークショーは瀬尾氏をはじめ、『暮しの手帖』・澤田康彦編集長、同書の担当編集者・田島良子氏が登壇した。トークショーは、表紙や本文中に登場するキャラクター「瀬尾ハリネズミ」の紹介からスタート。田島氏は「料理の写真を用いたデザインなど6パターンを用意したが、すべてボツとなった。瀬尾さんから、ハリネズミを表紙に使えないか打診を受けた」と紹介。
これを受けて瀬尾氏は、「命を削って作った本を埋もれさせたくない」と思いを述べ、「料理の本は大洪水のようにたくさんある。買ってもらえるかどうか分からないが、手には取ってもらいたい。その時に、この本自身がアピールできるような表紙にしたかった」と振り返った。
料理が上達するコツについて瀬尾氏は、「レシピ通り」に作ることとし、「鍋の様子を見る、めんどうを見ないと、美味しくできない」と紹介。そのうえで、味付けは最後の仕事であるとし、「調味料が少ない料理から始めたほうが、どこで間違えたのかわかりやすい。“気づいた経験”が多いほど、上達する」と持論を述べた。
イベントでは、同書で取り上げた素材からピックアップして美味しく調理するためのキーポイントを紹介。トークショーの後半では質疑応答も行われ、「フライパンの選び方」など来場者から質問が寄せられた。
最後に瀬尾氏は、「美味しいものを食べることは特別ではない。人の暮らしの中に料理があるべきで、美味しいが先に歩いてはいけない。日々の暮らしの中で何が食べたくて、どうやって命を保つのかを振り返り、美味しいから離れて、自分にとって贅沢とは、ご馳走とは何か考えてもらいたい」と話した。
訂正:イベント開催日を「10月26日」としておりましたが、正しくは「10月19日」です。お詫びして訂正いたします。(10月24日)