【関西】京都を舞台にした小説で、過去1年間に発刊された中から、最も地元の人に読んでほしい作品を決める第7回京都本大賞に、天花寺(てんげいじ)さやかさんの『京都府警あやかし課の事件簿』(PHP研究所)が選ばれた。
同賞は、22候補作品から実行委員が本作と下村敦士『告白の余白』(幻冬舎)、垣根涼介『室町無頼』(新潮社)の3作に絞り、書店店頭と京都府書店商業組合ホームページで読者による一般投票を経て決定した。
10月31日、書店組合で行われた授賞式で洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)は、「この賞をきっかけに作家・作品が大きく飛躍し、新たな展開も生まれている。作家とともに成長していきたい。『京都ガイド本大賞』作品も、北海道・沖縄など遠方から問い合わせが入るなど大きな反響」とあいさつした。
『京都府警あやかし課の事件簿』は、化け物から神仏まで「あやかし」が絡む様々な事件を人知れず解決する京都府警人外特別警戒隊(通称あやかし課)で、新人女性隊員と個性豊かなメンバーが活躍する躍動感あふれるファンタジー。小説投稿サイト「エブリスタ」で発表され人気を呼び、書籍化された。第1、2巻とも重版され、今年12月に第3巻が刊行される。
天花寺さんは、「アニメ映画をきっかけに小学2年から物語を書き始め、社会人になって小説家を目指した。私が生まれ育ち、不思議な伝説がたくさんある京都の物語を、感謝と謙虚な気持ちで書き続けたい。この本を手に小説の舞台を訪れてくれたと読者もいて、京都への思いが通じたと嬉しかった」と喜びを語った。
また、10月3日に発表された「京都ガイド本大賞2019」の表彰式も行われ、大賞の『京都案内』(リーフ・パブリケーションズ)の編集を手掛けた同社編集制作部・中野さやか氏は「『いま紹介したい新しい京都を案内する』をテーマに、地元で愛される小さな店まで掲載している」とあいさつ。
また、同リピーター賞『体験が楽しい!京都本』(京阪神エルマガジン社)を担当したMOOK・書籍編集室の井鍋槙氏は、「老舗、専門店、お寺と本格的な体験ができるのが京都の魅力。ネットでは検索できない情報を紹介している」と同書の魅力を語った。