誠文堂新光社が6月初旬に刊行した齋藤孝『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』が、間もなく6刷5万部となり、発売から約半年経た今もなお着実に部数を伸ばしている。発売直後から首都圏の書店を中心に、著名作家の話題書として展開した書店の反響に加え、およそ2カ月前あたりから、郊外店やファミリー層に強い書店に営業を注力。首都圏以外の書店が話題書や注力商材として協力、積極的に展開したことが、実績につながり、息の長い商材として好調だという。
総送品数3万部強 消化率50%、返品率7%
発売から総送品数が3万部強に達し、11月中旬現在に至るまで、消化率約50%、返品率約7%と好成績を維持していることは、書店で入荷した部数を着実に消化し、さらに現在でも店頭で継続的に展開されていることの証左に他ならない。12月上旬には同書単品の読売新聞全5段広告掲出を予定しており、それを受け6刷目の増刷を決定。今回、これまでの増刷部数の中でも最大の1万5000部を増刷する予定だが、初版部数1万部でスタートし、発売して数カ月を経た同書に対し、同社がいかに力を注いでいるかが伺い知れる増刷部数だと言えよう。
これまでも11月上旬に同紙半5段を掲出しており、その際、通常時のおよそ1・5倍以上の販売部数を記録。また三省堂書店成城店では、入口間近の話題書として展開したところ、展開前と比べおよそ4倍の販売部数を示し、累計販売数は300冊を超えた。一方、丸善仙台アエル店では10月下旬から話題書コーナーで展開した結果、約2週間で20冊を販売。
手応えを感じた同店は、さらなる売り伸ばしを図り、11月上旬の全国紙広告に合わせて、レジ前で展開したところ、同月中旬時点で月25冊の販売実績を出すなど、広告掲出とより好立地での展開による相乗効果で、大きな実績をあげるに至った。
『君たちはどう生きるか』との類似点
ファミリー層の強い書店で実績をあげている傾向は強いものの、立地などは問わず、しっかり展開した書店はもれなく実績が伴っている。それは「我が子に読ませる」というニーズのもと、児童書の棚で母親が購入するケースと、かつての『君たちはどう生きるか』がそうであったように、ビジネスマンが購入し、自らも読んだうえで、我が子に買い与えるという消費のされ方をしているためだ。そのため立地や顧客層を問うことなく、好評を博している。実際に、立川のペーパーウォールエキュート立川店では、狭小な立地ながら、ビジネス書の棚で展開したことで実績を上げている。他にもノンフィクションや人文書などのニーズも高いという。
もちろん好調な類書との併売も効果的だ。例えば為末大による『生き抜くチカラ』(日本図書センター)、『こども六法』(弘文堂)、『まなの本棚』(小学館)など、子どもを啓蒙する書籍との併売実績も多数ある。
また好評の理由のひとつとして、『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス刊)の羽賀翔一氏が装丁画を手掛けたことに加え、各章末に羽賀氏の1ページ漫画=写真右下=を収録したことで、他の齋藤氏の書籍と差別化を図れていることも大きな要因だという。
同社・営業部の楠本徹販売促進課長は、「齋藤さんの本はこれまでたくさん出ているが、多くの書籍が概ね2カ月くらいから売上が緩やかになるのに対し、本書は約半年たった今でも販売部数を伸ばし続けている」と話している。
同社では12月上旬の読売新聞広告掲出に加え、年末年始商戦においてさらなる拡販を図る意向だ。□B6変判/224㌻/本体1300円