アスク出版 ヘミングウェイ作品の英文法書、ツイッター拡散でブレイク

2019年12月5日

『ヘミングウェイで学ぶ英文法』

 【本紙訂正あり】アスク出版は12月10日、英文法書としては異例の売れ行きとなった『ヘミングウェイで学ぶ英文法』の第2弾を発売する。前作の売れ行きを受けて書店からの事前受注は順調だ。

 

 『ヘミングウェイで学ぶ英文法』は今年5月30日に発売し、ツイッターで話題になったことで3日で品切れとなり、12月2週目頃重版出来予定の6刷で3万5000部に達する。これを受けて第2弾は初版1万3000部で発売するが、すでに事前受注が8000部を超えている。

 

 同書の刊行は著者のひとり杏林大学・倉林秀男准教授がツイッターで発信した「ヘミングウェイで英文法の本を出したい」というつぶやきを、同社編集部の森田修氏が目にしたことがきっかけだった。

 

 「ネットで英文法についての発信が増えていた」と、森田氏は英文法への関心が高まっているとみていたが、「文学と文法が合体した本はほとんどなく、特に作家名を掲げた類書はなかった」という。

 

 このため需要予想は難しく、最初の企画会議では通らず、営業部でも「賛否があった」(営業部・今岡青衣氏)。同社は約1600書店との直接取引で語学書などを販売しているが、発売1~2カ月前から始めた事前受注では書店も慎重だったという。それでも今岡氏は「語学好きにははまると思い応援した」という。

 

 ところが、発売直前に倉林氏やその周辺の予備校講師などがツイッターで発信したところ、まず翻訳者や語学関係者といった専門家の注目を集め拡散。発売日に大型書店で品出し前から問い合わせが入るなど反応が現れ、アマゾンからの初回発注は4桁に上り減数出荷を余儀なくされるほどだった。

 

 今岡氏も「語学書は初版を時間かけて売るもの。3日での品切れは経験がない」と反響の大きさに驚く。さらに朝日新聞が6月17日付夕刊でこのことをニュースとして掲載。「ある大手書店チェーンでは売れ行きが前日比6倍になった」(今岡氏)という大きな反応を呼び、その後も新聞、雑誌などで次々に取り上げられた。

 

 同書はヘミングウェイの短編数編を和訳や解説とともに掲載。ほかではあまり読むことができない作品を選んだり、作品とは独立したページで解説を詳しく載せるといった工夫も読者に好評だ。

 

 ブレイクした理由について森田氏は「ヘミングウェイの作品が名文だとされるのは、派手な形容詞や副詞を使わずに文法的な工夫で深みを出しているところ。そういう素材で文法を学ぶという切り口が新鮮だったのではないか」とみている。

 

 第2弾は生前未発表作品2点を含めた短編6作品と代表作『老人と海』の一部を収録。

 

 発売に向けて書店からの受注活動を行っているが、すでにツイッターなどで話題になっているため反応は上々だという。同社と直取引がない書店は取次番線印を押して、同社へFAX注文できる。

 

 FAX=03(3267)6867

 

 □『ヘミングウェイで学ぶ英文法』=A5判/312㌻/本体1900円、『ヘミングウェイで学ぶ英文法2』=A5判/336㌻/本体2000円

 


 

【本紙記事の訂正】(12月5日)

 本紙「文化通信」12月2日付8面に掲載した「アスク出版 ヘミングウェイ作品の英文法書」の記事で、FAX番号に誤りがありました。FAX=03(3267)6768とあるのは誤りで、正しくはFAX=03(3267)6867です。訂正いたします。