小学館が2020年1月23日に発売を予定している『名刀大全』の事前予約が、本体3万5000円(税別)と高額にもかかわらず300冊を超える予約が集まるなど注目を集めている。
同書は、古代から江戸時代までの約1000年あまりにわたる刀剣の歴史の中から、正倉院宝物や国宝、重要文化財に神社の神宝など名刀中の名刀200振を厳選。同書の監修には、名刀愛好者から信頼を集める佐野美術館・渡邉妙子理事長とふくやま美術館・原田一敏館長を起用している。
同書は読者の利便性を考慮し、図版編と解説編の2冊に分けており、図販編では、200振のうち国宝6振を新撮したほか、多くの原寸図版を収載。これにあわせて上製ヨコB4判を採用し、一部ページは片観音となっている。解説編は、並製タテB4判を採用し、刀剣の専門研究者21人による解説を掲載している。
同社文化事業局文化事業室・髙橋建編集長は、同書について「名刀の歴史を図版とともに体系的にまとめた書籍は40年以上出版されていないのではないか」と強調する。
また、ゲームやアニメ、ミュージカルなど多メディア展開を続けている「刀剣乱舞」ファンの若い世代からシニア世代まで「名刀」愛好者の輪が広がり、追い風が吹いているとし、「専門家だけではなく、刀剣愛好者にも楽しみながら、知識を身につけてもらいたい。専門家21人による解説は、長年の研究に基づいた内容となっており、しかも読みやすい文体でまとめている。広く多くの人に手にしてもらいたい」と話す。
同社では8月下旬から事前予約活動をスタート。予約特典には、「限定制作・特製ケース入り『太刀 銘 国綱〈名物 鬼丸〉』の押形」をプレゼントするほか、リーフレットを作成。
11月上旬には、監修者・渡邉理事長のコメント動画や撮影の様子、制作過程、掲載する刀200振リストなどをツイッターで発信したところ注目を集め、紀伊國屋書店で70冊を超える予約が集まったほか、アニメイトなどの書店を中心に、全体の予約数は既に300冊を超えている。
同社マーケティング局・根來大策氏は「高額にも関わらず、幅広い世代からこれだけの予約が集まるとは思わなかった。『刀剣乱舞』の作品から名刀の魅力に気づき、展覧会や博物館だけではなく専門家の講演会などにも足を運んでいる人たちが増えている。SNSでの情報発信がそういう人たちの購入意欲を後押ししたのではないか」と話す。
そのうえで、「今後もツイッターなどを活用して、内容情報を積極的に発信していく。購入を迷っている人たちの背中を押し、買ってくれる人を一人でも増やしていきたい」と力を込めた。