出版科学研究所によると、2019年1~12月の出版市場は紙と電子を合わせると同0・2%増の成長に転じた。同調査で前年を超えたのは04年(0・7%増)を除くと出版市場の縮小が始まる前年の1996年以来のこと。紙の書籍・雑誌は前年比4・3%減となったが、電子が同23・9%増と大幅に伸長した。紙と電子を合わせた販売額は1兆5432億円、電子の占有率は前年より3・8ポイント上昇し19・9%と2割に達するまで拡大している。
紙の書籍・雑誌販売額は1兆2360億円(同4・3%減)。このうち書籍は6723億円(同3・8%減)、雑誌は5637億円(同4・9%減)。一方、電子出版は3072億円(同23・9%増)と調査史上初めて3000億円台に乗った。
電子コミックは3割増に
電子出版の内訳は、電子コミックが2593億円(同29・5%増)、文字ものを中心とした電子書籍が349億円(同8・7%増)、電子雑誌が130億円(同16・7%減)。電子コミックは前年の伸び率(14・8%増)を大幅に上回ったのに対して、「dマガジン」の会員数減少が続く電子雑誌は2桁のマイナスになった。
紙の書籍はビジネス書、新書は前年を上回り、児童書が堅調だったが、文庫に加えて文芸書、生活実用書、学参などが低調だった。雑誌はコミックス(単行本)が前年比約4%増と伸びたことで前年より減少幅は縮小した。内訳はコミックス・ムックを含む月刊誌が同4・2%減、週刊誌が同8・1%減。
【星野渉】