法蔵館文庫シリーズ第2弾 『正法眼蔵を読む』『アマテラスの変貌』刊行

2020年1月29日

「文庫シリーズ5作品」

 

 法藏館(京都市、西村明高社長)は昨年11月、過去に発刊した入手しづらい名著を揃えた「法蔵館文庫」シリーズを創刊した。このほど、同シリーズ第2弾として2作品を発刊した。

 

 同社の既刊本に対し、読者や他の大手出版社からも文庫化の依頼が重なるなどし、戸城三千代編集長は「他社の学術文庫に引けを取らない内容と自信を持っている。手に取りやすい形になれば、多くの人に求められる」と、5年の構想を経て文庫化を実現した。

 

 当初、文庫創刊に批判的な声もあったが、京都発の新たな挑戦に、既存読者層や著者、学術・人文系の関係者から好意的な応援が相次いだという。

 

 同社は仏教書専門版元のイメージが根強いが、文庫シリーズでは民俗学的な学術、哲学、仏教学、日本思想と人文学の幅広いジャンルを取り揃えている。

 

 西村社長は「新たな読者の開拓につながる。文庫創刊のPOPも用意しており、書店でも多面的な展開をお願いしたい」と意欲を見せる。今後、隔月で複数冊数を刊行する。

 

 第1弾は大乗仏教の本質を説く『仏性とは何か』(高崎直道)、民間信仰研究の『いざなぎ流 祭文と儀礼』(斎藤英喜)、老年の幸福論『老年の豊かさについて』(キケロ)の3作品で、補論、あとがきによって現代に即した補足を行っている。

 

 1月の新刊は、フランス思想の立場から道元の言葉を読み解く『正法眼蔵を読む』(寺田透、592㌻、本体1800円)と、多様な姿を持つアマテラスを手がかりに従来の神仏習合論の見直しを迫る『アマテラスの変貌』(佐藤弘夫、320㌻、本体1200円)の2作品。初刷は各4000部。

 

 3月にはシリーズ第3弾、『地獄』(石田瑞麿)、『王法と仏法』(黒田俊雄)を発刊する予定だ。