文化通信社は1月21日、東京・中央区の銀座ユニークカンファレンスルームで、第18回文化通信フォーラム「CCCが考える新しい書店とそれを支える出版流通」を開き、㈱TSUTAYA・鎌浦慎一郎取締役BOOKカンパニー社長が、同社が展開する店舗や顧客データベースを活用した仕入れなどについて話した。
鎌浦氏は九州TSUTAYAで2013年に大きな話題となった武雄市図書館、16年にはアメリカのパウエルズ・ブックスを参考に中古と新刊を併売するTSUTAYA BOOK GARAGE福岡志免、17年には六本松蔦屋書店などを手掛けた。
これらの取り組みや、蔦屋書店の先駆けとなった代官山蔦屋書店、地方展開するモデル函館蔦屋書店、フランチャイズモデルのTSUTAYA BOOKSTOREなどについて説明。
昨年開始した出版社からの返品枠付き買い切り仕入れについては、契約出版社は当初の目標を達成。返品率を20%に抑えることで店舗に利益還元し、出店を可能にすると目的を説明。
契約した出版社とは全商品について部決前に商談して仕入れ部数を決めるため、本部のバイヤーを増員しているが、今年はシステムで自動化すると話した。
また、蔦屋書店ではジャンルの専門家コンシェルジュが目利きで仕入れを担当する一方で、データベースを活用したクラスタリング発注の実験も進めており、「人の目利きとデータベースを活用した生活提案書店を目指している」と述べた。
質疑では、返品枠付き買い切り仕入れの今後の比率、地産地消型イベントなどについて質問があった。
次回は2月3日に第19回文化通信フォーラム「最新のアメリカ出版事情とは」を開催する。講師は大原ケイ氏。
【星野渉】