東京国立博物館で昨年1~2月に開かれた特別展「顔真卿(がんしんけい)―王羲之(おうぎし)を超えた名筆―」(毎日新聞社など主催)の図録が第61回全国カタログ展(日本印刷産業連合会など主催)の図録部門で文部科学大臣賞に選ばれ、1月20日に東京都内で表彰式があった。
図録は毎日新聞社発行。台北・故宮博物院の至宝、顔真卿筆「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」や懐素(かいそ)筆「自叙帖(じじょじょう)」、幻の神品として行方が探され東京国立博物館の所蔵となった李公麟(りこうりん)筆「五馬図巻(ごばずかん)」など177点のカラー図版を収録。A4変型判372㌻。拡大図版を多用し、愛好家が手習いのお手本として使うために役立つよう工夫されている。書道史を概観できるコラムも収められた。
文科大臣賞は企画デザインに優れ、社会教育に役立つカタログに贈られる。審査員で武蔵野美術大学名誉教授の柏木博さんは「顔真卿の力強く味わいのある書を、演出することなくできるだけ正確に伝えようとしている」とするコメントを出した。
図録は毎日新聞社のサイト「まいにち書房」https://www.mainichi.store/items/16250914で販売中。2852円(税込み、送料別)。
顔真卿(709~85年)は中国・唐時代の官僚で書の巨人。特別展は書の普遍的な美しさが確立されたと言われる唐時代に焦点を当て、顔真卿の活躍と日本や後世に与えた影響を紹介するもので約20万人が訪れた。