オンライン書店「楽天ブックス」はこのほど、「大学受験関連本の売上傾向」と「AI・情報科学関連本ランキング」を発表した。ランキングは「楽天ブックス」の販売データをもとに独自集計したもの。調査によると、世界思想社教学社が発行する過去問題集「赤本」シリーズの売上は2014年から5年連続で増加し、関連本全体でも売上規模が拡大。
このほか、20年入試に向けた19年の大学受験関連本の売上は、理系が増加する一方で文系は微減した。また、理系人気のトレンドを受け、「AI・情報科学関連本ランキング」では全体の売上規模が16年に比べて2倍以上となった。
大手予備校「河合塾」が発表している「第3回全統マーク模試にみる2020年度入試の動向」によると、大学受験では理系学部、その中でも「通信・情報」分野の志望者が増加した(注1)。「AI」や「情報科学」分野への社会的な関心の高まりが背景とみられ、17年には小学校でのプログラミング教育の必修化も発表されている。
「赤本」シリーズ 売上は5年連続の増加
大学受験過去問集の「赤本」シリーズは14年から5年連続で売上が伸張した。19年の年間売上は14年の約2・7倍となった(注2)。大学受験関連本の全体の売上規模も、19年は14年の約2倍に拡大し(注3)、紙の学習参考書や問題集は現在も受験生に必要とされていることが分かった。
理系が増加する一方で文系は微減
大学受験関連本を理系と文系で分析すると(注4)、理系では19年の売上が昨年比プラス12・7%と増加。その一方で、文系はマイナス1・7%の微減だった。
「河合塾」の大学入試情報サイト「Kei-Net」によると、19年10月に実施した「第3回全統マーク模試」における志望校の集計結果(注1)では、私立大学の理系学部志望者が増加しており、文系学部は前年並みの結果となっている。「楽天ブックス」での売上傾向も、同様のトレンドが反映された。
理系人気のトレンド 売上規模が2倍以上に
19年の「AI・情報科学関連本ランキング(注5)」ではトップ10のうち、小学生向けの本が半数を占めた。17年の小学校におけるプログラミング教育必修化の発表前となる16年のランキングに比べると、漫画を通じて楽しく学習できる『AIのサバイバル(1)』『AIのサバイバル(2)』といった作品がランクインした。
子どもの頃から自主的にAIや情報、データといった分野に親しむことへのニーズが高まっている。また、16年との売上規模比較では、19年のAI・情報科学関連本は2倍以上の売上となった。
(注1)引用元: 河合塾の大学入試情報サイト「Kei-Net」に掲載されている「第3回全統マーク模試にみる2020年度入試の動向」より引用。
https://www.keinet.ne.jp/dnj/20/bunseki/03/20bunseki_01.html
https://www.keinet.ne.jp/dnj/20/bunseki/03/20bunseki_02.html
(注2)計算方法:2014年から2019年まで毎年4月1日から12月31日までの期間に販売された教学社の過去問題集の販売データをもとに独自集計。
(注3)計算方法:2014年から2019年まで毎年4月1日から12月31日までの期間に販売された「大学受験関連本」の販売データをもとに独自集計。
(注4)計算方法:2016年から2019年まで毎年4月1日から12月31日までの期間に販売された「大学受験関連本」の販売データをもとに独自集計。
(注5)計算方法:2016年1月1日から12月31日、2019年1月1日から12月31日までの期間に販売された「AI・情報科学関連本」の販売データをもとに独自集計。