楽天が運営するオンライン書店「楽天ブックス」はこのほど、学生の「ビジネス・経済・就職部門ランキング」「就職部門ランキング」「語学・学習参考書部門ランキング」を発表した。ランキングは学生限定会員プログラム「楽天学割」ユーザーの販売データを独自集計し、15~25歳を対象として、2019年4月1日から20年1月31日までの購入傾向を分析。それによると、「就職部門」の学年別購入割合は大学3年生が64%を占め、19年全体の売上推移では秋から就職活動解禁日の3月1日にかけて増加した。一方で、大学4年生は資格試験対策本、入社に備えたマナー本やビジネス書が人気を集めた。
【鷲尾昴】
「ビジネス・経済・就職部門ランキング」において、大学3年生は就職活動対策本3冊がトップ5に、大学4年生は資格試験対策本や入社に備えた本3冊がトップ5にランクインした。
ビジネス書籍全般を含み、学生の就職活動対策や社会人になる準備のために購入される「ビジネス・経済・就職部門」の書籍について、学年別の割合をみたところ、購入層は大学3年生が38・7%で最も多く、次いで大学4年生が36・8%となった。
各学年のランキングトップ5は、大学3年生が就職活動対策、大学4年生は入社に向けた準備をしている傾向がうかがえる結果だった。
大学3年生のトップ5で就職活動対策本は、1位『これが本当のSPI3だ!2021年度版』、2位『絶対内定2021 自己分析とキャリアデザインの描き方』、4位『「会社四季報」業界地図 2020年版』、5位にも自己分析に役立つ一冊『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』がランクインした。
大学4年生は資格対策とビジネスマナーを意識
大学4年生のランキングでは、上位2作品がファイナンシャルプランナー(FP)の資格試験対策本だった。4位は社会人のマナーをイラストで解説した『入社1年目ビジネスマナーの教科書』がランクイン。
また、大学3年生と大学4年生の両ランキングで、3位に『メモの魔力』がランクインし、就活のスタートから終了後まで、人気の1冊となっている。
「SPIノートの会」が上位独占
就職にジャンルを絞り込んだ「就職部門ランキング」のトップ5は、学生の就職活動対策を長年支えたベストセラーが並んだ。「就職部門ランキング」では、就職活動対策本のベストセラー「SPIノートの会」の書籍や「絶対内定」シリーズが上位に。
上位5冊中3冊が洋泉社から出版されている「SPIノートの会」の書籍だった。1位の『これが本当のSPI3だ!2021年度版』は主要なSPI試験の3方式を網羅し、SPIの最初の対策本に適しており、多様な就職試験を効率よく対策したいという就活生のニーズが表れている。
なお、洋泉社は20年2月1日、親会社である宝島社に吸収合併され解散した。22年度版の「これが本当のSPI3だ!」は講談社から3月中旬に刊行される予定だ。
「就職部門」の学年別購入割合は、最多が大学3年生の64・9%、同じく就職活動時期の修士1年生と合わせると75・2%となった。
月別の売上推移では就職活動解禁の3月にかけて売上が増加。新卒一括採用の見直しが謳われているが、19年度は従来のスケジュールに則った流れの元、学生は関連書籍から就職活動対策の知見を得ようとしている。
英語資格本は全てT O E I C
「語学・学習参考書部門」の学年別購入割合は大学1・2年生が30・3%と、「ビジネス・経済・就職部門」の大学1・2年生の購入割合15・7%に対して約2倍となった。履歴書に記載できる語学資格取得の準備に、低学年時から意欲的であると分かった。
TEX加藤さんの『TOEICL&R TEST 出る単特急 金のフレーズ改訂版』は、TOEIC公式問題集を抑えて1位にランクイン。さらに、3位と4位にもTEX加藤さんの著作が入っており、学生は定評のある著者の対策本を購入している。
「語学・学習参考書部門ランキング」のトップ5は全てTOEIC試験対策本が並んだ。大学の単位取得要件や履歴書に記載できる資格として、大学1年生からTOEICの関心は高い。