新型コロナウイルスの影響広がる 「日本の広告費」発表も延期に

2020年3月2日

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新聞業界、出版業界、広告業界でもイベントや会合の中止などが相次いでいる。大手広告会社の電通は、本社ビル(東京・港区)で働く男性従業員1人が「陽性」であったとして、2月26日から本社ビルに勤務する全従業員を対象に、在宅リモートワークを実施。同27日に予定していた「2019年日本の広告費」の発表も延期されるなど、異例の事態となっている。

 

 また、大手取次トーハンも27日に対応を発表。主要取引書店や出版社に対して経営方針や施策などを発表する年間最大の会合である「全国トーハン会代表者総会」について、4月22日開催の予定を中止することを決めた。

 

 政府は26日、今後2週間の大規模イベントの中止や延期を要請。27日には、全国の小中学校や高校などに臨時休校を要請した。新聞、出版、広告業界でも2月末以降のイベントや会合について、次々と中止や延期を発表。ほとんどのものが取り止めになっているような状況だ。自粛ムードも強まり、経済活動への影響が懸念されている。

 

 電通は26日から、本社ビルで働く全従業員5000人が在宅勤務に。同社は、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「日本の広告費」を毎年、この時期に発表している。今年も27日に発表するとともに、記者らを集めた説明会をオンライン中継で開催する予定だったが、それらが全て延期となった。現段階で、開催時期は未定としている。

 

 トーハンは27日、新型コロナウイルス感染拡大への対処として、時差出勤や訪店活動の縮小などを実施し、各種会合を中止することを発表した。4月22日に予定していた「全国トーハン会代表者総会」も中止する。

 

 時差出勤は2月25日から3月31日の期間を予定しているが、延長する場合もある。訪店活動の縮小は、当面、不要不急の訪店を控え電話・メールなどでのやりとりを中心とする。また、自社主催の会合や各種イベントなどへの参加も、中止・延期する。

 

 4月の「全国トーハン会代表者総会」の中止に伴い、20年度の経営方針・販売施策などは4月に発表し、取引書店向けには各地のトーハン会総会などで詳細を説明。出版社に対しては、物流対応やグループ書店の取り組みを含めて、7月に説明会を実施する予定だ。

 

 さらに、同社が日本館運営事務局を務めている「第28回台北国際図書展(TIBE)」については業務受託を中止し、参加を見合わせる。TIBEは2月4日からの開催を予定していたが、主催者は5月7~12日への延期を発表している。

 

 

「BOOKCON」「本のフェス」も

 

 

 また、丸善ジュンク堂書店も27日、出版社72社が120のブースを出展する予定だった「丸の内BOOKCON(ブックコン) 2020 with honto」の開催中止を発表。3月13日から15日までの3日間、丸善・丸の内本店(東京・千代田区)で行われる予定だった。

 

 3月21日に開催を予定していた「第5回本のフェス」(主催・本のフェス実行委員会/読売新聞社/大日本印刷)も中止に。出版業界を盛り上げようと、16年にスタートしたイベント。昨年の第4回はDNPプラザ(東京・新宿区)などをメイン会場に、2日間で1万2000人が参加した。実行委員会は「延期開催を含め、決定次第改めて発表する」としている。