JPIC読書アドバイザークラブ(JRAC)はこのほど、読み聞かせの推進と絵本の普及を目的に「親子で読んでほしい絵本大賞」を創設し、第1回大賞に原作・向田邦子、文・角田光代、絵・西加奈子の『字のないはがき』(小学館)を選出した。『字のないー』は、向田邦子氏のエッセイ「字のない葉書」を絵本化したもので、戦争中の向田一家の愛情深いエピソードを綴った実話。
JRACは「JPIC(出版文化産業振興財団)読書アドバイザー養成講座」の修了生有志による自主運営組織で、1993年に設立。 現在の会員数は全国約600人にのぼり、各地で読書推進活動を進めている。
同賞は、雑誌『この本読んで!』2019年春号~冬号4冊で紹介した400冊の新刊絵本からJRAC会員の選考委員40人が12点をノミネート。この中から、同会員123人が1~3位を選んで投票した。
3月16日には、日本出版クラブで著者の角田氏らを招き、贈賞式を予定している。
JRACの洞本昌哉代表幹事(ふたば書房)は『字のないー』について、「絵本だが、アドバイザーのみなさんは、ストーリーに重きを置いて選んだのでは。まさに『親子で』読んでほしい素晴らしい内容」と選評。
賞の創設については「現場で『どの絵本がいいか』とよく聞かれるが、数多くの作品があり、スタッフの主観に頼るのか、売れ筋で紹介するのか難しい。これが正解とまでは言わないが、講座修了者らが選んだという冠はひとつの指針になるのでは」とコメント。店頭ではすでに良い動きを見せているという。
【堀雅視】