新年度のスタートに合わせ、今年もNHKテキストのシーズンが始まる。2019年度は定期購読コンクールの参加店舗数が前年比174%、定期購読冊数が同146%と大きく伸びた。NHK出版は20年度、定期購読獲得コンクールや飾りつけコンクールのほか、新たにYouTubeを使った動画プロモーションも実施する。特に今年は小学校英語の教科化や学習指導要領の改訂など、教育改革が追い風となり、英語への関心が高まっている。定期購読獲得の正念場となる4月に向けた販促展開、企業対抗戦やチェーン店でのインナーキャンペーンなど、NHKテキスト独自の取り組みを紹介する。
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【編集部】
自分に最適なテキストを生活に
20年度の「NHKテキスト 春のキャンペーン」は、体験談型の集団ビジュアルを中心に展開する。従来と異なり、1人のイメージキャラクターではなく、さまざまな人物が登場している。それぞれの生活の中でNHKテキストを取り込み、身近に感じてもらうことが狙いのコンセプト。
キャッチフレーズは『自分に合う。が見つかる。』。書店で展開するポスターには老若男女、さまざまな年代、職業の人たちが「自分に合った」NHKテキストを手に取る姿が描かれている。
YouTubeで動画プロモーション
20年度のPR展開は、まず継続読者を対象として3月号発売に合わせ、2月18日からフリーペーパー「えらべるガイド」を書店に配置。同ガイドの英語力測定テストや、WEB版英語力測定テストで4月以降にどのテキスト講座を受講すべきか、自分にとって最適なテキストを知ることができる。
4月号発売に合わせ、3月10日ごろには英語以外も含めた全テキストのカタログ「NHKテキストナビ2020」と、店頭用のテキストコーナー拡材「デコキット」を送り、新規読者の獲得を目指す。
新たな取り組みとしては書店展開に加え、3月10日からYouTubeでプロモーション動画の配信を開始する。ターゲットは高校生や大学生などの若い学生。新しいプロモーション方法を実施し、若年層への認知度アップを図る。
このほか、3月中旬以降、新聞広告や電車広告を積極的に展開し、定期購読獲得でもっとも重要な4月に向け、書店に足を運んでもらえるよう注力していく。
同社の営業担当者は、「単にテキストを羅列するのではなく、キャッチフレーズのイメージを前面に出し、若い人から年配の人まで対応して、どんな人の要望にもマッチしたテキストがあるとアピールしたい」と意気込みを語る。
また、各NHKテキストを購読している読者の声を紹介し、いろいろな角度から指針を示して、新規読者獲得に向けた販促プロモーションを展開していくという。
店頭での声がけが難しい場合を想定し、例年と同じく「定期購読申込書」を用意。また、書店配布用のノベルティとして、NHKテキストの発売日を記載したミニカレンダーや学習ブックマークも作成した。
企業・店舗で対抗戦、書店のノウハウ共有
19年度のNHKテキストは、定期購読コンクール参加店舗数が前年比174%、定期購読冊数が同146%と好調に推移している。2年前から実施している企業対抗戦や、チェーン店でのインナーキャンペーン、ポイント施策が大きな後押しとなった。
19年度の企業対抗戦では、書店の「うさぎや」と「ブックエース」が定期購読獲得で競い合った。この試みを通して両書店からの意見を参考に定期購読獲得のノウハウを提示する「定期購読(お取り置きサービス)受注獲得オペレーションマニュアル」や店頭配布する「定期購読申込書」が作成され、多くの書店にノウハウが共有された。
企業対抗戦は北関東の「うさぎや」と「ブックエース」のほかに、中国地区の「啓文社」と「今井書店」でも行われ、今後、別の地区でも取り組みを広げる方針だ。
また、企業対抗戦の仕組みを活用し、紀伊國屋書店全店で、店舗別コンクールを初めて実施。19年度は定期購買獲得数と獲得伸長率の上位店舗表彰と、個人表彰のインナーキャンペーンを展開した。
定期購読は今年に限らず、NHKテキストの大命題で、いかに4月号からの定期購読を獲得していくかが生命線だという。
書店にとっても業界全体で雑誌の売上が厳しい中、店頭にリピートしてもらえる定期購読に力を入れるのが、例年以上に重要となる。
今までの成功事例を横に広げ、企業対抗戦は継続しつつ、インナーキャンペーンについても、今年度は紀伊國屋書店ほか大手5法人での実施が決まっている。
こうした取り組みは、コンクールのベースをうまく活用しながら、それぞれの書店に合ったやりやすい方法を相談し、売り上げを一番伸ばせる施策を探り合うのが重要だという。
英語テキストへ追い風
今年は小学校で英語が教科化され、新学習指導要領に変わる。NHK英語テキストでは18年度から小学校英語の教科化や学習指導要領の変更を見据えて改訂を進めてきた。
ラインナップイメージも2年前から出来上がっており、小学校5~6年生向けの『基礎英語0』からスタートし、「基礎英語」シリーズ1・2・3で英語レベルをアップ。高校生以上をターゲットとする主力商品の『ラジオ英会話』は、講師が大西泰斗氏となった18年度から、毎年前年比20・10%増と好調で、順調に売り上げを伸ばしている。
さらに今年でセンター試験が終わり、来年1月から新しい試験方式が始まる。中学・高校の授業も新しい学習指導要領に対応した4技能(読む・聞く・書く・話す)がさらに求められる。
小学校で英語が評価の対象となることを踏まえ、『基礎英語0』のラジオ放送は週1回から週3回に増え、ページ数も増えた。「基礎英語」シリーズの1・2・3では、書き取り練習を充実させ、さらに『基礎英語3』では長文読解を増やし、ブラッシュアップした。
海外からのインバウンド需要に対応した新番組『おもてなし 即レス英会話』(半年講座)もスタートする。