大日本印刷(DNP)が丸善ジュンク堂書店、文教堂、トゥ・ディファクトと共同で運営するハイブリッド型総合書店「honto」は、ビジネス書などを読んで参加者同士が語り合うイベント「ペア読書会」を、昨年から定期的に開催している。3月11日、ビデオ会議システムを使ってオンラインのみで参加する「ペア読書会」を東京・新宿区のDNPプラザで開き、30人が参加した。新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人が集まるイベントが相次いで中止となる中、オンラインのみで読書を楽しむ新しい試みを行った。
hontoが進める「ペア読書会」は、準備をせずに会場に集まり、当日各自で30分間書籍を読んで、参加者同士で語り合うことで、読者の楽しさと新しい気づきを提供している。これまでも定期的に、さまざまな形でペア読書会を実施している。
今回、オンライン会議システムの「Zoom(ズーム)」を使って、参加者に専用のURLを配布し、インターネットを通じてリアルタイムで参加してもらった。
題材となった本は『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)。会場には著者の末永幸歩さん、編集を担当したダイヤモンド社の藤田悠氏、司会を務めた大日本印刷の松原嘉哉氏の3人のみで、客席は空席のまま。代わりに、大型テレビにオンラインで参加している人たちの姿が映し出された。
参加者は『アート思考』の紙の本または電子書籍を各自で用意し、イベントの冒頭30分間で、目次から気になるテーマを拾い読み。その後、参加者同士がペアに、続いてグループに分かれ、著者も交えて感想や気づきをオンライン上で語り合った。本を読む前後には『アート思考』のワークショップも行った。
「自分の編集した本真剣に読む姿に感動」
ペア読書会の最後に、著者の末永さんは「私が書いた本を題材に皆さんと交流できて、非常におもしろかった。『アート思考』とは、明日すぐビジネスにつながるものではないかもしれないが、日頃からその思考を身につけることで、長い目でみると大きな違いが出てくるだろう」と改めて語った。
編集者の藤田氏も「自分が編集した本を、大勢の皆さんが同時に目の前で読んでいるのは、なかなか体験できることではない。真剣なまなざしで本を読んでいる姿を見て、感動した」と喜んだ。
そのうえで、「これまで100冊ほど本を作ってきたが、この本が内容的に間違いなく一番おもしろい。発売から1カ月ほどで増刷が2回かかるなど、売れ行きも好調だ。まだまだ広めていきたいので、皆さんもぜひ周りの人におすすめしてほしい」と呼びかけた。