毎日新聞社の江戸ものづくり列伝 ニコ動で「復活」

2020年4月2日

「江戸ものづくり列伝」展の会場からニコニコ美術館が生配信している様子

 

 新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、全国の美術館・博物館が軒並み臨時休館し、展覧会が会期末を待たずに終了したり、休止したりしている。そんな中、江戸東京の職人たちの手による数々の工芸を紹介する特別展「江戸ものづくり列伝―ニッポンの美は職人の技と心に宿る―」(毎日新聞社、東京都歴史文化財団東京都江戸東京博物館主催)が動画配信サービス「ニコニコ動画」で「復活」した。

 

 特別展は江戸東京博物館(東京都墨田区)で4月5日まで開催する予定だったが、2月29日に江戸博が休館したのに併せ、同日から休止されている。こうした中、ニコニコ動画のサービス「ニコニコ美術館」が臨時休館を決めた美術館・博物館を応援したいと「ネット展示」の希望者を募集し、江戸博が手を挙げて実現した。3月10日夜に生配信され、会期中の4月5日までニコニコ美術館(https://ch.nicovideo.jp/niconicomuseum)で視聴できる。

 

 特別展では5人の名工を柱に江戸東京で花開いた、ものづくりの世界を紹介する。江戸を代表する蒔絵師・原羊遊斎(はらようゆうさい)と柴田是真(ぜしん)、鬼才の陶工・三浦乾也(けんや)、葛飾北斎の晩年の弟子で絵師から装剣金工に転じた府川一則(ふかわかずのり)、そして大正・昭和期にミニチュア工芸を究めた小林礫斎(れきさい)。いずれも単独で展覧会が成り立つ名工たちだ。

 

六瓢提物 小林礫斎/作 江戸東京博物館蔵

 

 「六瓢提物(むびょうさげもの)」は長さ約3センチの小さなひょうたんの中に、さらに小さな長さ約3ミリのひょうたんが五つ入っている。ち密で精度の高い礫斎の仕事ぶりが際立つ。この他にも、虎徹(こてつ)の号で有名な長曽祢興里(ながそねおきさと)や越前康継(えちぜんやすつぐ)といった江戸を代表する名匠の作刀なども展示されている。

 

 もう一つの見どころは、イタリアのベニス東洋美術館のバルディ・コレクションの初来日。収集者のヨーロッパ貴族バルディ伯爵は、世界一周旅行の途中で1889年に日本を訪問、先々で日本の文物を集めて持ち帰った。このうち35件が、同館の協力により初めて「里帰り」している。

 

 特別展再開に関する情報は同館ホームページ(https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/)。問い合わせは同館(03・3626・9974)。公式図録はネットショップ「まいにち書房」(https://www.mainichi.store/)で販売している。