講談社は3月23日、神奈川県内の高校・大学にMOOK『FRaU SDGs MOOK OCEAN 海に願いを。』1240冊を寄贈した。FRaU編集部は「SDGs(持続可能な開発目標)の普及と実践に取り組んでいる神奈川県の姿勢に深く共感し、SDGsに関する学習教材に同書を役立てていただくため、寄贈を決定した」とコメントを発表。寄贈したMOOKは、神奈川県政策局SDGs推進課を通じ、県内の高校・大学、計306校に配布するとしている。
※MOOK(ムック)は、MagazineとBookを掛け合わせた用語。書籍の流通コードを持つ雑誌形態の書籍。雑誌と違い返品期限がなく、書籍同様に再出荷が可能などの特徴がある。
【鷲尾昴】
返品本など改装で良品化、廃棄物を削減し寄贈へ
2019年10月発売の同書は、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」に焦点を当てて特別編集したMOOK。海洋プラスチック問題をはじめとした“海を取り巻く問題”について、女性誌の視点からアプローチした一冊となっている。
神奈川県の高校・大学に贈られた1240冊は、流通・店頭展示の過程で緩い折れ目がついたり、梱包跡がついたりしたものを良品に改装し、寄贈に充てた。
文化通信社の取材に対して、FRaU編集部は「書籍、雑誌は流通の過程で傷や折れ目がつくことが少なくない。それらは書店から返品されたものだったり、書店(取次)にお送りする前に検品段階で跳ねたりするものがある」と説明。書見に問題が無い場合、一部は再販制度に基づき、改装により良品化し再出荷することもあるが、できないものは廃棄してしまうという。
出版物の運用を説明したうえで「今回は良品化し、再出荷にあたるものを贈呈した形になる」と説明し、流通で生じてしまう廃棄も削減できたと強調。
SDGsの12番目のゴール『つくる責任、つかう責任』には、『廃棄物の発生を大幅に削減する』、『人々が、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つ』ことがターゲットとされており、「今回の寄贈が、その視点からもSDGsを促進するアクションになればと考えている」とコメントした。
FRaU×SDGs企画、全編特集で話題に
FRaU×SDGs企画は、第1弾にあたる特集号『FRaU SDGs 世界を変える、はじめかた』が18年12月に発売された。全編SDGsを特集した女性誌として話題を集め、初版3万部、重版2回と売り上げを伸ばした。
今回寄贈した『FRaU SDGs MOOK OCEAN 海に願いを。』はMOOKとして発売し、初版3万部で発売。企画では第2弾にあたる。
第3弾の特集号『FRaU SDGs世界を変える、はじめかた。2020』は19年12月に初版3万部で発売し、販売状況はいずれも概ね順調だという。今年6月には、第4弾となる『FRaU SDGs 世界に通用する日本発SDGs(仮)』の発売予定している。
取り組みは講談社全体へ
「SDGメディア・コンパクト」に加盟
FRaU編集部の取組みは、発行元である講談社全体にも広がっており、同社は今年1月、国連の「SDGメディア・コンパクト」に加盟した。「SDGメディア・コンパクト」とは、17の持続可能な開発目標に向けて、国連が世界各国の主要な報道機関に参画を呼びかけているもの。
同社は今後、FRaUに限らず、報道・ライフスタイル・コミック・児童向けなどあらゆるメディアを通じ、サスティナブルな社会の達成に寄与していくとしている。
FRaU編集部から、高校生・大学生に向けてのメッセージ
アメリカの先住民、ナバホ族の言葉に「自然は祖先から譲り受けたものではなく、子孫から借りているのだ」という言葉があります。
豊かな地球の自然や人々のくらしを、どうやればもっとよい形で「未来に返して」いけるのか? 2030年に社会の中心で活躍しているだろう、今の高校生・大学生のみなさんと話し合い、ともに歩んでいきたいと考え、今回、「FRaU SDGs OCEAN 海に願いを。」を寄贈することにしました。
このMOOKを読んで、みなさんが感じたことを話し合っていただけたらと思います。編集部にも意見をください。昨年、国連気候変動サミットでのスピーチなどで、世界中の「おとな」たちに衝撃を与えたグレタ・トゥーンベリさんは、2003年生まれ、みなさんと同世代です。
何かアクションを起こすのに、早すぎるということはありません。FRaUがそのヒントになれば幸いです。
SDGsは、地球人みんなが想いをひとつにして取り組む「未来へのポジティブな宿題」です。今日より明るい明日のために。今回FRaUを手にしたおひとりおひとりが、小さなことからでも一歩を踏み出す、そのきっかけになれたらとても嬉しいです。
【講談社 FRaU編集部】