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『ぼくは犬や』=270×210mm上製/40㌻/本体1400円
ブロンズ新社は4月16日、韓国の人気作家ペク・ヒナ氏の翻訳絵本『ぼくは犬や』を初版6000部で発売する。作者のペク氏は「児童文学のノーベル賞」と言われるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を2020年3月に受賞し、世界で注目されている絵本作家の一人。同書は19年4月に韓国で発売され、発行部数6万5000部を達成した創作絵本。ペク氏の前作『あめだま』に登場する犬「グズリ」の視点から、人間家族との日常を描いた物語となっている。
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前作『あめだま』に登場する犬「グズリ」視点の物語
翻訳は絵本作家の長谷川義史氏が担当し、主人公「グズリ」の気持ちを大阪弁で軽快に表現。また、長年犬と暮らしてきたペク氏から、人間都合の生活を余儀なくされながらも飼い主を見つめ、愛を注ぎつづけてくれる犬への感謝や愛が、作品に詰め込まれている。
ペク氏は自らを「人形いたずら作家」と名乗り、作品の特長である「表情豊かな人形」も見どころの一つ。絵本で使われている人形は、スカルピー粘土を成形して焼き上げ、一体一体を着色して製作。本文シーンにあわせて作られた人形の総数は70体を超え、背景セットから照明、そして撮影までも全てペク氏が一人でおこない、仕上げた創作絵本となっている。
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人形は本文にあわせて70体以上作られた
ブロンズ新社は刊行に際し、同書の魅力について「おなじ表情はひとつもなく、シーンに合わせて気持ちが伝わってくる人形に注目してみてください」と紹介。なお、ペク氏の翻訳作品は『あめだま』のほか、『天女銭湯』『天女かあさん』が同社から刊行されている。
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前作『あめだま』(ブロンズ新社)
特に前作『あめだま』は日本でも高く評価され、19年に全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する「第24回日本絵本賞」で、翻訳絵本賞と読者賞をダブル受賞。日本では発行部数2万7000部、韓国では22万部を達成している。
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作者のペク・ヒナ氏
絵本作家。自称「人形いたずら作家」。1971年、ソウル生まれ。韓国の梨花女子大学卒業後、カリフォルニア芸術大学でアニメーションを学ぶ。人形制作、緻密なセット作り、撮影までをひとりでこなし、独自のファンタジー世界を作り出す。ポメラニアンのムンチと暮らしている。「2020アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を受賞。