文化通信社は4月27日、〈緊急オンラインセミナー〉「緊急事態宣言下、問われる地域書店の役割と課題」を開催し、京都を中心に書店や雑貨店を展開するふたば書房の洞本昌哉社長が講演した。
セミナーはオンライン開催だったこともあり、地方の書店経営者も参加し、出版社や書店など関係者約40人が受講。洞本社長が緊急事態宣言下での営業状況や経営課題などについて話した。
同社は書店と雑貨店を京都府、大阪府、兵庫県などに27店舗展開しているが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発令によって、この日の時点で19店舗が休業を余儀なくされた。
しかし、洞本氏は営業を継続している書店には多くの来店者があり、売り上げも前年に比べて伸長していることなどを報告。「人々にとって本が必需品であることを改めて実感した」と述べた。
また、購入される出版物は既刊書が多く、人々が定番の出版物を求めていると報告。参加した他の書店や出版社関係者からも同様の報告や既刊書売り伸ばしの取り組みなどの声が寄せられた。
一方で、休業店舗の家賃負担や店頭での感染リスクを軽減するための措置、アルバイトなどスタッフの確保や配置、雑貨店と書店の商品供給などの違いといった経営者としての課題も指摘。
また、業界として本が必需品であるという訴えが必要だという考えを示したほか、出版社に対しては継続的な商品供給などへの協力を求めた。
質疑では、売れている本のジャンルや、在宅勤務が増えている出版社に対する要望などについて質問が寄せられた。
第3回は有隣堂・松信副社長が登壇
〈第3回緊急オンラインセミナー〉「未曾有の危機に立ち向かう有隣堂からの報告」を5月13日15時から開催します。詳細はこちら。