京都大・山中教授ら、新聞協会などに要望書「報道に関するガイ ドライン作成を」

2020年5月11日

 京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授らは4月24日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、日本新聞協会や日本民間放送連盟に、「感染者や医療従事者、医療施設に対する差別や偏見を防ぐための方策を、共に検討いただきたい」と求める要望書を送った。

 

 要望書は山中教授、東北大学・押谷仁教授、名古屋医療センター・長谷川好規院長、国立国際医療研究センター国際感染症センター・大曲貴夫センター長の4人の連名。

 

 要望書によると、2002年のSARSで多数の死者を出した台湾や香港などでは、「新しい感染症が起こった時、政府や専門家がどう国民に情報を伝え、それをマスメディアがどのように報道して国民の連携を高めていくか、という仕組みを構築してきた」と指摘。

 

 しかし、日本では「感染者の情報を社会がどのように取り扱い、報道機関がどのように報道し、差別や偏見を助長せずに危機を乗り越えるべきか」という議論を持つ機会がなかった、と提起した。そのうえで、具体的に以下を要望した。

 

 ▽感染者に寄り添い、誰もが当事者になりうるという観点から、感染者に対する差別や偏見を防ぐための方策を、共にご検討頂きたい

 

 ▽医療従事者や医療施設に対する差別や偏見を防ぐための方策を、共にご検討頂きたい

 

 ▽日本新聞協会・日本民間連盟および会員社で、今回の新型コロナウイルス感染症および将来の新興感染症の報道に関するガイドラインを作成して頂きたい

 

 ▽研究者や臨床家が、報道機関と具体的にどのように協力すればいいか、ご提言を頂きたい