新聞労連、民放労連、出版労連などでつくる「日本マスコミ文化情報労組会議」(MIC)は4月21日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、報道関係者に「報道の危機」に関するアンケートを実施した結果の概要を発表した。
それによると、2月下旬から報道関係者を対象にしたアンケートに214人が回答を寄せ、「あなたは現在の報道現場で『報道の自由』が守られていると思いますか」という問いに、124人が「守られていない」と答えていることが分かった。
公表されたアンケートでは、「あなたが現在の報道現場で感じている『危機』について教えてください」との問いに対し、新型コロナ報道について「記者勉強会で政府側から『医療崩壊と書かないでほしい』という要請が行われている。医療現場からさまざまな悲鳴が聞こえてきているので、報道が止まるところまではいっていないが、『感染防止』を理由に対面取材も難しくなっており、当局の発信に報道が流されていく恐れがある」とか、「コロナウイルスの報じ方について危うさを感じている。実際の現場の声よりも、政治家の声を優先して伝えてしまっていることに危機感を持っている」といった回答があった。
また、政治報道についても、放送局社員から現状を懸念する回答が、多く寄せられた。「ニュースソースが官邸や政権であること。その結果、番組内容が官邸や政権寄りにしかならない」「権力の監視が出来ていないこと」「権力者をチェックしていない」「政権の意見を流すだけのニュースになんの意義を感じているのかがわからない」などの意見が並んだ。
MICは「大本営発表に染まった戦前の報道の過ちを繰り返してはならない。また、なにより、報道現場で働く仲間の命と健康や権利をしっかり守る態勢を早急に整える必要がある」などとまとめている。