新聞協会と民放連 新型コロナ感染めぐる差別・偏見防止策を検討、5月中に共同声明

2020年5月18日

 日本新聞協会と日本民間放送連盟は5月7日、新型コロナウイルス感染症に関する報道側と専門家との意見交換会を開いた。京都大学・山中教授や東北大学・押谷仁教授などの専門家8人とウェブ会議を行い、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした感染者、医療従事者やその家族などへの差別・偏見を防ぐための方策について、意見を交わした。

 

 会合に先立つ4月24日、山中教授らは連名で「感染者、医療従事者への差別を防ぐ方策を共に検討したい」などと、両団体に要望していた。

 

 今回の意見交換会に、報道側は新聞協会と民放連が差別・偏見を防ぐ報道機関の役割に鑑み設置した「新型コロナウイルス感染症の差別・偏見を考える合同ワーキンググループ(WG)」メンバーが出席した。新聞協会と民放連がこうした問題で合同WGを設置したのは初めて。

 

 発表によると、会合では専門家側から、「もっとも感染リスクの高い医療従事者や、医療施設に関する報道で、医療従事者の家族が差別・偏見を受けることもある。改善策を共に考えたい」との意見が出された。

 

 一方、報道側は「新聞や放送は、医療関係者に対する非難や中傷は許容できないとの立場で報道している」「差別・偏見を受けた状況を報道で顕在化させることも必要であり、医療現場の状況を発信してほしい」と要望した。

 

 新聞協会の砂間裕之編集委員会代表幹事(毎日新聞東京本社・編集編成局長)は、報道機関による差別・偏見を防ぐための取り組みの一環として、5月末までに新聞協会と民放連による共同声明の発表を目指す意向を伝えた。