一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)は6月6日、インターネット上でのプログラム「JPIC ONLINE」を開始した。第1弾として同日、オンライン読書会「カミュ『ペスト』を読む――コロナ以後をどう生きるか」を開いた。参加費は無料で、駒井稔氏(フランス文学読書会代表、光文社古典新訳文庫創刊編集長)が進行役を務めた。
JPICは、読書推進や出版文化産業のため「Live at Bookstore」という企画で、全国の書店をまわり、作家や文学者の講演会や読書会を行ってきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、再開の目途が立たないことから、イベント活動をインターネット上で展開することを決めた。 今回の「カミュ『ペスト』読書会」の課題図書『ぺスト』(新潮文庫)は、フランスのノーベル賞作家であるアルベール・カミュが1947年に刊行した代表作。
古典として広く知られ、新型コロナウイルスの流行により、今年の2月以降36万部以上を売り上げ、ベストセラーとなっている。
JPICによると、「当日は海外からの参加者をはじめ、これまで遠方のため参加できなかった人の参加が多く、また走行中の自動車の助手席から参加される人など、オンラインならではの特色が見られた」という。
オンライン読書会の参加者からは「今回の感染症で、リアリティをもって読むことができた」「読書会という機会を得たことで、初めて最後まで読むことができた」という意見があった。「人によって違う視点があり、勉強になった」「楽しくてあっという間に時間が過ぎた」という感想も聞かれた。
開催後のアンケートでは、「オンラインのほうが良い」という意見が多数寄せられる一方で、「オフラインでも継続して開催してほしい」という意見もあり、JPICでは「今後はオンラインとオフラインの両輪で実施していきたい」としている。
今回の好評を受けて、同イベントのリクエスト開催を6月20日14時から16時に実施する。参加費500円。
また、6月27日にもフランス文学者の中条省平氏によるトークイベント「20世紀フランス文学の伝説的作家・マンディアルグ─中条省平さんが読み解くその作品の魅力」(6月27日14時~15時30分、参加費1000円)を開催する。