筑摩書房が6月3日に刊行した、ブレイディみかこの最新刊『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』が、発売から2週間経で累計発行部数10万7000部に達した。
同書は、著者の夫と友人たち、“おっさん(おばさん)”の目線から、彼らが暮らす英国の現在を描き出している作品。各所で話題を呼ぶ大ヒットとなった前作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』と舞台を同じくし、同じ時期に執筆された2冊の関係を、まさにコインの裏表であると語る著者の最新作には、刊行前から多くの書店員や読者の注目が集まり、同社も事前プロモーションに力を入れた。
NetGalleyを活用、緊急事態宣言下でも事前プロモ注力
緊急事態宣言下で紙のプルーフ版を届けることが難しい中、関係者にいち早く読んでもらうため、電子書籍版のゲラが読めるNetGalleyを活用。多数の感想が寄せられ、店頭での大きな展開を希望する書店や予約注文も多く集まったことなどから、刊行前重版を決定した。
また、一般の読者に向けても、著者のTⅤやラジオへのパブ出演および、全国紙への広告出稿など、刊行前後でほぼ毎日何かしらの露出がある戦略が奏功し、在庫切れを起こさないよう増刷を重ねた結果、今回の10万部突破につながったという。
同社営業部の尾竹伸氏は「著者も精力的に取材を受けているので、パブリシティはまだまだ続く。自粛期間中に溜まった鬱憤を晴らすようにみんなで盛り上がり、こんな時でも、やっぱり本はいいな、と思っていただきたい」と意気込みを語る。
今後も同社では、日本経済新聞やブロック紙、地方紙を合わせた全47都道府県への新聞広告出稿。西加奈子氏と著者の対談企画などを予定し、読者への訴求力を高め、さらに盛り上げていくという。
□四六判/256㌻/本体1350円
【野中琢規】