滋賀県彦根市のサンライズ出版(岩根順子社長)は、平安時代の僧、元三大師良源の疫病除けお札や、坐像などを紹介したムック『疫神病除の護符に描かれた元三大師良源』を6月20日に刊行した。
比叡山延暦寺の中興の祖として知られる良源は、都に疫病が流行すると、角が生えた鬼の姿「角大師」になり、疫病神を退散させたとされている。新型コロナ禍の終息を願い、長浜城歴史博物館の学芸員・福井智英さん、玉泉寺の吉田慈敬住職らが執筆した。
3つの章から構成され、「伝説と護符」では、角大師のほか、もたらした災いによって姿を変える鬼大師や豆大師、また各種お札を紹介。次章は良源の生涯と、おみくじのルーツも解説している。「庶民と習俗」では、良源ゆかりの寺院や、新型コロナで厄除け妖怪として一躍脚光を浴びたアマビエについて掲載。良源は、アマビエが疫病を予言したとされる時期より900年以上前に滋賀県に生誕し、延暦寺を再興したと敬われている。
長浜市周辺の情報を発信する地域情報誌『み~な びわ湖から』の「長浜み~な編集室」の協力を得て、サンライズ出版社内で「疫病退散!角大師ムック編集部」と命名し、刊行に至った。同社編集部・矢島潤さんは、「ムック市場は年々厳しさを増しているが、編者名にあえて『ムック』の言葉を入れた。少しでも状況を打開できれば」とコメント。
書店に向けて「表紙の角大師は、中世以降、厄除けの護符として民家の玄関に貼られ、現在も各地の天台宗寺院で授与されている。各書店でも入口付近などで平積みや面陳展開して商売繁盛にも繋げてほしい。POP、ポスターも用意しているのでぜひ活用を」と呼びかけている。
A5判並製/36㌻/オールカラー/本体900円
【堀雅視】