ポプラ社が毎年夏に展開している児童文庫フェアが、店頭展開前からツイッター上で話題になり弾みをつけている。今年のテーマは「キミはまだ、名作の面白さを知らない」。名作8タイトルのカバーに人気漫画家の浅野いにお氏、市川春子氏ら8人が描きおろしイラストを採用。漫画家自らが選んだ作中の印象的なシーンやセリフとともに、作品に対する思い、コメントも載せた。カラフルな表紙が目立つ児童書売場では、異色のモノクロベースにテーマカラー1色のデザインも好評だ。
企画したのは1年前に同社に転職した編集者、松田拓也氏。これまで児童書の編集経験はなかったが、発端は「子どもたちが名作に感じている『ハードル』を取り払いたいこと、そして大人にとっても子どものときに読んだ時とは違う発見があるだろう」という気持ちからだったという。
事前プロモーションにも注力
店頭に並ぶ前の事前プロモーションにも注力した。ツイッターアカウント「ポプラ社ポケット文庫+」で、イラストを担当する漫画家と、ラインアップをわけて発表。その組み合わせを予想するクイズや、小まめに情報を更新していくなかで、ツイッターアカウントのフォロワー数は1000以上増えた。
「(レーベルの)読者層があまりツイッターをやらないので、これまでフォロワー数が大きく伸びることはなかったが、この企画で年齢層の広いところに届いた感触がある」と、児童編集第一部の門田奈穂子マネージャーは話す。
そのツイッターでの盛り上がりをみて、フェア展開を決めた書店員もいるという。また、表紙イラストを描いた漫画家との親和性の高いアニメイトのコミック売場からも注文が寄せられ、フェア展開が広がっている。
ウェブ上では、日替わりでアカウントのフォロー&リツイートをしたフォロワーに、抽選でオリジナル「どこでも名作トート」があたるキャンペーンも実施している。
6月下旬から順次フェア展開していく。展開店は約800店。フェア展開本と漫画家の組み合わせは以下の通り。
▽夏目漱石「坊っちゃん」(浅野いにお)▽宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(市川春子)▽宮沢賢治「注文の多い料理店」(スケラッコ)▽ロフティング「ドリトル先生」(板垣巴留)▽バウム「オズの魔法使い」(衛藤ヒロユキ)▽ベルヌ「十五少年漂流記」(大童澄瞳)▽スティーブンソン「ジキル博士とハイド氏」(星野リリィ)▽ブライトン「おちゃめなふたご」(種村有菜)
【成相裕幸】