「本の日」実行委員会は今年も、11月1日の「本の日」を中心に、書店の来客・販売促進につながるキャンペーン活動を展開するが、新型コロナウイルス感染症の影響がいまだに払拭できない状況などを考慮して、店頭集客型の企画は自粛し、「ギフトブックキャンペーン」(文化通信社主催)と「図書カードプレゼントキャンペーン」(日本図書普及協賛)の2つに絞って展開する。同実行委員会は6月30日、2020年度の実施計画などを説明する出版社説明会をオンラインで開催した。
「本の日」キャンペーンは昨年から、実行委員会の事務局を日本書店商業組合連合会(日書連)内に設ける形で実施された。
説明会の冒頭、日書連会長で「本の日」実行委員会代表の矢幡秀治氏(真光書店)があいさつ。「昨年の『本の日』は多くの協賛金が集まり、たくさんの媒体で宣伝していただいたおかげで、書店店頭でさまざまなイベントを実施することができた」と感謝。
そのうえで、「しかし、今年度はコロナ禍で、東京都内では感染者がまだ減らないという現実もある。私たち本屋も店の内外でのイベントはできない状況だ」と説明。「ただ、書店は休業要請の対象外なので、店を開けておくことはできる。お客様に来てもらえる環境にあるということに力を入れて、今年の『本の日』は実行していきたい」と協力を呼びかけた。
続いて、「本の日」実行委員会の大垣守弘委員長(大垣書店)が、昨年度の総括と今年度の方針を説明した。
昨年は「ブックカバー大賞」などのイベントを開催したことを紹介し、「『本の日』のさらなる認知向上に向けて、業界をあげた周知徹底が必要だ。また、運営体制も業界全体のコンセンサスのとれた体制の構築が求められる」と課題を語った。
そのうえで、「今年度は新型コロナの影響も考慮し、キャンペーン活動を『ギフトブック』『図書カードプレゼント』に絞って展開する。業界を挙げた周知活動をお願いしたい」と強調した。
続いて、図書カードキャンペーン委員会の井之上健浩委員長(久美堂)が、全国の書店で図書カードが当たるキャンペーンについて説明した。
自分で“読むモノ”にとどまらず “贈るモノ”としての価値創出
「ギフトブックキャンペーン」については、文化通信社・山口健社長が説明。「欧米などでは人々が本を贈る習慣が定着しているが、日本では大人同士での贈答に本はほとんど使われていないのが現状」とし、「今回初めての取り組みとして、『本の日』に合わせてお歳暮、クリスマス、年末年始のギフトシーズンに本を贈る習慣の創出をはかるキャンペーンを企画した」と語った。
キャンペーンの内容は、ブックセレクター(著名人)30人が「大切な人に贈りたい本」をそれぞれ3タイトル選び、90タイトルを掲載した「ギフトBOOKカタログ」を文化通信社が制作・発行する。各書店店頭で関連フェアを開催するとともに、カタログを販売する。
また、同社でキャンペーン販促ツールの制作・配布を行うほか、専用ホームページ、SNSによるプロモーション活動も実施する。同時期にギフト・プロモーションを手がける他業界ともコラボレーションし、書店への誘客をはかる。
「ギフトブックキャンペーン」発起人は阿刀田高、宮内義彦、三枝成彰、石坂浩二、小山薫堂、幅允孝の各氏でブックセレクターも務める。そのほか次の各氏ら合計30人がセレクターとなる予定。
尾上菊之助▽茂木健一郎▽仲道郁代▽大野和士▽隈研吾▽團紀彦▽長坂常▽谷尻誠▽島田雅彦▽松山剛己▽遠山正道▽横川正紀▽大塚朝之▽中村孝則▽大石静▽木村佳乃▽橘ケンチなど。