honto新型コロナで書店の「店舗受け取り」が急増、5月売り上げは過去最高に

2020年7月13日

 大日本印刷(DNP)が丸善ジュンク堂書店、文教堂、トゥ・ディファクトと共同で運営するハイブリッド型総合書店「honto」はこのほど、コロナ禍で国内外の「店舗受け取り」サービスに注目が集まる中、書店店頭で受け取りを依頼できるアプリ「honto with」の利用が急増していることを明らかにした。外出自粛ムードが始まった3月に同アプリ経由の店舗受け取り利用が伸び、5月は過去最高の売り上げとなったとしている。

 

 同社によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、欧米の大手小売業ではネットで購入し、店舗で受け取る仕組みの導入が進んでいる。例えば、米ウォルマートでは「Buy Online Pick―up In Store(BOPIS)」専用のピックアップカウンターや、専用の巨大ロッカーを店内に設置し、スムーズな受け取りを強化しているという。

 

「honto with」を提供

 

 そのような中で、hontoも店舗受け取りサービスを展開。本の在庫検索から店頭受け取りを依頼できるアプリ「honto with」を提供している。

 

 hontoの「店舗受け取り」は、DNPグループ書店で一元管理している在庫情報(全国の丸善、ジュンク堂書店の店舗在庫3000万冊含む)から本を手配する。

 

 希望店舗に在庫がある場合は、最短1時間以内にレジに取り置かれる。無い場合も倉庫在庫と他店舗在庫から引き当て、DNPグループ書店の物流網を通じて店舗に配送。生活者は店頭で中身を確認してから支払い、書籍の売り上げは各店の売り上げになるという。

 

 同社はこのほど、「honto with」経由の店舗受け取りサービスの3月から5月の状況について発表した。それによると、「honto with」経由の店舗受け取り書籍売り上げは、3月が前年同月比で5割増に、5月は同6割増となった。また、店舗受け取り新規利用者数も3月が同3割増、5月が同6割増にのぼった。

 

 ジャンルでは、3月に需要増が見られたのは経済・ビジネス、コミック、暮らし・実用。同社では「経済・ビジネスは3月以降、上昇傾向が続いている。注文単価も微増しており、買いだめ傾向が見られる」としている。

 

「無い本が無い」を実現

 

 売り上げが伸長した背景について、「緊急事態宣言解除後の5月も伸長を続けたのは、新型コロナ感染予防に役立つサービスとして、利用ニーズがあったと考えられる」と分析。そのうえで、「一般的に通販は専門書などの在庫が僅少だが、hontoは大手ネット書店に無い本が見つかるなどと、生活者からSNSでたびたび紹介される。3~5月に、出版社や著者から入手できる書店として紹介されたことも影響したと考えられる」とした。

 

 また、「無い本が無い」を実現しているのは、「蔵書3000万冊を有する大型書店の丸善、ジュンク堂書店の店舗在庫との連携」と強調している。