直木賞作家・角田光代さんの新作小説「タラント」の連載が7月18日から、読売新聞朝刊で始まる。角田さんの長編執筆は5年ぶり。読売新聞での連載小説は、2005~06年の夕刊小説「八日目の蟬(せみ)」以来、2回目となる。
主人公は、大学進学とともに香川から上京した「みのり」。結婚し、現在は洋菓子店で働く。まもなく40歳を迎えるみのりの日々の生活や、中学2年生の甥や90歳代の祖父との交流などを描きながら、戦争やパラスポーツなどのテーマを扱う。タイトルの「タラント」は才能、賜物の意味。
角田さんは、05年の直木賞受賞作「対岸の彼女」やベストセラー「八日目の蟬」などで、現代女性の生き方を描く一方、戦後に満州(現中国東北部)から引き揚げた一家を描く長編「ツリーハウス」(2010年)など、近代の歴史と等身大で向き合った作品を発表している。今作はこれらの流れを受けた、細やかさとスケールの大きさを併せ持った作品となりそうだ。
挿絵の担当はイラストレーターの木内達朗さん。池井戸潤さんの「半沢直樹」シリーズの書籍装画など多数の作品を手掛けてきた。