大月書店が4月中旬に刊行した『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』が、現在3刷7000部と好調だ。
同書はナチス期ドイツの歴史研究を専門としている、甲南大学の田野大輔教授による著作で、田野教授が同大学で10年間にわたり、実施してきた「ファシズムの体験学習」を紹介しつつ、その大衆動員の実態やメカニズムをわかりやすく、一般向けに解説する。
「ファシズムの体験学習」とは、学生にナチスのような集団行動をあえて体験させることで、その身近さと危険性を、自身の体験として批判的に理解させる目的で実施されたもので、当時、「現代ビジネス」(講談社)でも取り上げられ、76万PVを記録するなど、世間の耳目を集めた。
また6月上旬の朝日新聞で、新型コロナウイルスの影響下に見られる一般市民が偏った正義感を他者に強いようとする、いわゆる「自粛警察」や「コロナ自警団」と「ファシズム」との構造が近似しているという、田野教授の記事が掲載されたことも話題となった。
さらに6月下旬に同じく朝日新聞で書評が掲載されたほか、書評サイト「HONZ」で麻木久仁子さんが紹介したことも評判となり、増刷するに至った。
□四六判/208㌻/本体1600円