大阪大学出版会(三成賢次会長)が、今年4月に刊行した『A NARROW BRIDGE(一本の細い橋)美術でひもとくオランダと日本の交流史』(ヤン・デ・ホント/メンノ・フィツキ著、松野明久/菅原由美翻訳)のフルカラー図版や本書の見どころを周知するため、プロモーション動画を制作し、YouTubeで公開している。
本書は、4世紀の長きにわたる日本とオランダの関係を解説した、アムステルダム国立美術館と、オランダの出版社Vantiltによる共同出版の翻訳書。同美術館が所蔵する献上品や貴重な歴史資料をフルカラーで収録。日本国内では外交や貿易を扱った専門書の多い日蘭関係史分野だが、本書は社会史的、文化史的視点で日蘭関係を大きな構図でわかりやすく描き、類書にない内容となっている。
本書のレイアウトなどを手がけたデザイナーの大西正一氏から「本書の内容や、美しい図版をわかりやすく明確に伝えたい」と異例のプロモーション提案があり、映像作家の中川周氏協力のもと動画が制作された。
コロナ禍前に出されたアイデアだったが、その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「書店に長時間滞在しない」など、読者の購買行動の変化もあり、結果的に自粛期のパブリシティとして効果的な手法となった。
動画は、本書を1㌻ずつめくりながら内容を紹介。視聴者が書店店頭で試し読みしているかのごとくリアリティを追求している。
大阪大学出版会編集部・板東詩おりさんは「オランダから原著者を招いてのイベントを計画していたが、コロナ禍で開催が難しい現状。動画で少しでも内容を知るきっかけになってほしい」と期待を示している。
【堀雅視】