誠文堂新光社は8月7日取次搬入、初版2万5000部で、齋藤孝氏の『友だちってなんだろう? ひとりになる勇気 人とつながる力』を刊行した。同書は2019年6月に刊行した、現在11万6000部の『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』(同社刊)の第二弾で、同社は前著が今なお販売部数を伸ばしていることから、第二弾のプロモーション、拡販に力を注ぎ、すでに1万部を増刷。現在2刷3万5000部に達している。
消化率70%を維持
同社・営業部の楠本徹販売促進課長によると、齋藤孝氏の書籍は通常、刊行から3カ月当たりで緩やかになるという。その一方で、前著の『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』は、日販トリプルウィンによると、刊行以降、常に返品率を1桁に維持し、今年7月中も約1万部を送品。8月4日時点では、消化率70%以上、返品率約7%と推移しており、常時、一定数を出荷しながらも、高い消化率と低返品率を維持している。
その証左として、第一弾を新たに話題書として大きく展開し始めた書店では、1カ月に30~50冊を販売。一方、継続的に展開し続け、すでに実績をあげている店舗でも、数カ月にわたり2桁の販売部数を維持している店舗も少なくない。
刊行から1年以上を経過した今なお、第一弾がロングで売れ続けていることから、同社のみならず、書店でも、今回発売した第二弾への期待値は高い。
東京・中央区の八重洲ブックセンター本店では、第一弾の発売当初、1階のレジ前で大きく展開。その販売実績を受け、上大岡店や武蔵境店など、各店舗でも話題書として展開を開始した。
さらに昨年12月から今年2月にかけ、ポイントキャンペーン施策の対象書籍として、各店舗で多面展開するなど、販促に注力したことも奏功し、児童書に強い郊外店舗だけではなく、高年齢層や男性層の多い店舗でも実績をあげ続けた。特に本店、上大岡店、武蔵境店では累計で3桁の販売実績をあげており、現在も売れ筋の定番商品として展開。今回の第二弾の発売に合わせ、第一弾もさらに追加投入し、新刊、既刊の売り伸ばしを図っている。
一方、くまざわ書店法人全体では、第二弾『友だちって…』が、入荷1週間足らずで、既に100冊強を売り上げるなど好スタートを切ったことで、同社はさらなる促進を図る意向だ。
今こそ求められる本
これらシリーズについて、八重洲ブックセンター・営業部の狩野大樹マネジャーは「新刊として短期間で売り伸ばすというよりも、第一弾、第二弾ともに普遍的なテーマでロングテールとして売り伸ばす商材。普段、齋藤氏の本を手に取らない層からも支持されており、その幅広い層への訴求力こそ、当シリーズの魅力」と話す。
一方で今回の新刊について、「新型コロナウイルスの影響により、親世代もまた、それまでの人間関係や人との接し方が変わり、自分自身が不安になっている。だからこそ、自身の子どもに対しても、友だち関係やコミュニケーションのあり方について見つめ直そうとしている。そういう状況だからこそ、親や子を問わず、求められている本だ」と力を込める。
また編集を担当した青木耕太郎氏は、今回の新刊について、「SNSの低年齢化にともない、友人の数が可視化され、フォロワーが少なければ『友だちが少ない』というレッテルを貼られてしまう。さらに新型コロナウイルス禍でソーシャルディスタンスを保つことが余儀なくされる中、子どもたちのコミュニケーション、友人関係のあり方が大きく変わろうとしている今だからこそ、本書を世に送り出す意義がある。今一度、友だちの定義を考え、『誇り高き単独者になれ!』と鼓舞する本書のメッセージが、友人関係で悩む中高生を救うきっかけになれば」と力を込める。
なお東京・千代田区の丸善丸の内本店では、今回の新刊発売を受け、9月6日に「齋藤孝流・コロナに負けない『友だち関係』の作り方」と題し、同店主催でオンライン講演会(税込2000円=書籍代1430円+送料・システム手数料570円)を実施する予定だ。