JIVE 少女マンガレーベル「ネクストF」新体制1周年、ITと出版のシナジー効果

2020年9月8日

営業を担う川畑氏(左)と石川氏

 

 JIVE(ジャイブ)は、昨年の9月で新体制となってからこのほど1周年を迎えた。同社はメディアドゥのグループ会社としてデジタル領域のリソースなどを活用し、少女マンガレーベル「ネクストF」のコミックアプリ、電子書籍配信、書籍刊行をより推し進めていくという。

 

 ポプラ社の完全子会社だった同社は、2019年8月30日にメディアドゥHD(当時)が全株式を取得して子会社となった。また、同社は宙出版から刊行されていたネクスト編集部の「ネクストF」レーベルの事業譲渡を受け、メディアドゥのインプリント事業会社として同レーベルのアプリ運営や書籍・デジタルのコミック刊行などを行ってきた。

 

 新体制となった同社には、宙出版から編集、総務など「ネクストF」事業に関わっていた社員7人が転職し、編集部員は全員がそのまま移動。同レーベルの前身である「ネクスト」を立ち上げた、初代編集長の中江陽奈・執行役員兼ネクストF事業部長と、2代目で現編集長の鈴木千恵子編集長も在籍しているほか、メディアドゥや業界他社から営業や経理担当者が参加し、同社は現在12人で営業している。

 

 「ネクストF」は、紙電子累計で100万部を突破している「大正ロマンチカ」(小田原みづえ)などをはじめとする少女マンガを提供するレーベル。

 

 宙出版からJIVEにレーベルが移動した際、これまでの雑誌扱いコミックスのコードが使用できなくなったため、書籍扱いコミックスのコードを新たに取得。既刊コミックス94点の刷り直しを順次行いながら、出荷は維持している。さらに、新体制になってからもこれまでに39点の新刊を刊行している。

 

 「ネクストF」アプリの配信も、昨年11月からJIVEに引き継がれて行われている。同アプリは週間更新で、毎週10~15の連載作品が更新されている。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、同社では3月からリモートワークを実施。その際には、電子書籍取次をはじめとして多くのデジタル事業を行っている親会社のメディアドゥが培ってきたノウハウに助けられ、現在編集制作に関しては完全リモートワークだという。

 

書店との協力を強める

 

 今年5月に川畑陽氏が電子書籍の営業担当として参加。これまで書店店頭での書籍営業を担当していた石川亮氏とともに、営業チームとしての体制もようやく整い、これから「ネクストF」のコンテンツをより広く展開していくという。

 

 中江事業部長は「レーベルの譲渡に伴い、電子書籍コードや電子奥付の変更・紙取次との取引再開やSbook導入といった環境整備に時間を割いた1年間だった。整備を終えつつある2年目は、読者にはさらにアグレッシブな少女マンガ作品の提供、書店には面白い販促提供をして行きたい」と展望を語る。

 

 同社はアプリのリニューアルローンチを12月に予定。また、今後は書店員との密なコミュニケーションを目標としており、同レーベルに協力し、さまざまな施策を共に行う「観光大使」としての書店員を現在募集している。

 

 問い合わせは、toru_ishikawa@mediado.jpまで。